アセチルコリン受容体

六訂版 家庭医学大全科 「アセチルコリン受容体」の解説

アセチルコリン受容体
(脳・神経・筋の病気)

 筋肉は、神経末端から放出されるアセチルコリンがある程度の量以上になると収縮します。この時に重要な役割を果たすのがアセチルコリン受容体です。この受容体は、筋細胞表面にある終板(しゅうばん)というところにあります。終板は溝が多数存在する構造となっています。この溝の壁に存在するのが、この受容体です。

 神経細胞が興奮すると、神経末端からアセチルコリンが放出されます。放出されたアセチルコリンは、終板に存在するアセチルコリン受容体にくっつきます。ある程度の量に達すると、終板に電位が発生します。この電位は、筋肉細胞の横管を通じて細胞全体に伝達されます。すると、横管の近くに存在する筋小胞体が興奮し、なかに蓄えていたカルシウムイオンを放出して筋細胞が収縮を開始します。

 重症筋無力症は、自分のアセチルコリン受容体に対する抗体を作って、受容体を壊してしまうのが原因で発症します。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

化学辞典 第2版 「アセチルコリン受容体」の解説

アセチルコリン受容体
アセチルコリンジュヨウタイ
acetylcholine receptor

AChRと略記される.シナプス後膜にあってアセチルコリンの情報を受け取るタンパク質分子.イオンチャネル型と膜7回貫通型の2種類に分けられ,それぞれにサブタイプが存在する.内在リガンドであるアセチルコリンは両者に結合するが,ニコチンはイオンチャネル型に,キノコ毒のムスカリンは膜7回貫通型にしか結合しないので,両者を薬理学的に区別できる.イオンチャネル型はニコチン性アセチルコリン受容体,膜7回貫通型はムスカリン性アセチルコリン受容体とよばれる.ニコチン性アセチルコリン受容体は4種類のサブユニットα,β,γ,δからなる五量体(α2βγδ)構造を有し,Na チャネルとしてはたらくことから,リガンド依存性の Na チャネルとよばれることもある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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