アフリカン・アメリカン(読み)あふりかんあめりかん(英語表記)African‐American

知恵蔵「アフリカン・アメリカン」の解説

アフリカン・アメリカン

アフリカ系アメリカ人。米国に居住する黒人の、かつて奴隷として強制移住させられたエスニック集団としてのアイデンティティールーツ、そして困難な状況の中で守り抜いてきた母国アフリカの文化的遺産への誇りを意識した呼称及び自称。総人口に占める割合ではヒスパニックをわずかに下回るが、有権者登録、投票率などではヒスパニックを引き離し、最大の政治的発言力を持つマイノリティー集団を形成している。ブラック・ナショナリズムの代表的組織としては、黒人の優越白人からの分離を唱えるブラック・ムスリムが挙げられる。指導的地位にあり、白人を「悪魔」と呼び、人種分離主義を声高に唱えたマルコムXは1964年に組織から決別、独自の運動を展開したが、翌65年、暗殺された。2001年3月、コロンビア大はマルコムX・プロジェクトを発表し、その伝記や残された文献の再調査に着手した。この先駆者への再評価の動きは、とみに顕著となっている。

(井上健 東京大学大学院総合文化研究科教授 / 2007年)

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