アルボウイルス(読み)あるぼういるす(その他表記)arbovirus

翻訳|arbovirus

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルボウイルス」の意味・わかりやすい解説

アルボウイルス
あるぼういるす
arbovirus

節足動物arthropodによって媒介されるウイルス総称分類学的な意味で使われることはなく、生態的な意味での呼称である。カ(蚊)がおもな媒介者vectorであるが、ダニの場合もある。吸血性昆虫はウイルスを物理的に運搬するのではなく、体内にウイルスを増生(増殖)させ、保有する。脊椎(せきつい)動物を吸血する際、ウイルスを注入し、宿主(しゅくしゅ)(ウイルスの寄生対象となる生物)内での増生を図る。節足動物は中間寄主であって自己は発病することはない。代表的なものに日本脳炎ウイルスJapanese encephalitis virusやデングウイルスdengue virusがある。

[曽根田正己]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のアルボウイルスの言及

【黄熱】より

…ウイルス性出血熱の一種で,検疫伝染病に指定されている。アルボウイルスの一種が病原体である。中央アフリカ,中南米にみられる。…

【コロラドダニ熱】より

…アルボウイルス群に属するウイルスが,マダニの1種(Dermacentor andersoni)の体内で増殖し,刺咬によりヒトに伝播されて発症する感染症。カナダから北アメリカのロッキー山地に分布し,以前はロッキー山紅斑熱の軽症型と混同されていたが,1930年に独立疾患とされた。…

※「アルボウイルス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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