イェラチッチ(英語表記)Josip Jelačić

改訂新版 世界大百科事典 「イェラチッチ」の意味・わかりやすい解説

イェラチッチ
Josip Jelačić
生没年:1801-59

ユーゴスラビア北部,クロアチア総督(バン)。青年時代から親オーストリア的であったが,南スラブ族の統一を唱えるイリュリア運動にも参加。1848-49年の革命期に,オーストリア皇帝からクロアチア総督に任命された。民衆の支持を得るため封建的諸関係の廃止を宣言する一方,ウィーン保守派の影響を受け,ハンガリー革命鎮圧のために進軍。ウィーンでも,クロアチア兵は〈赤マント〉の反革命軍として恐れられた。見返りとして,ダルマツィアリエカ併合を承認された。しかし革命鎮圧後のオーストリアのバッハAlexander Bachによる絶対主義体制下で,総督の地位は名目的となり,クロアチアの自治も縮小した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のイェラチッチの言及

【48年革命】より

…スロバキア人やセルビア人の農奴はマジャール人(ハンガリー人)の地主に対して蜂起を起こしていたし,トランシルバニアのルーマニア人も農奴制の廃止,ルーマニア語の使用を求めてハンガリーに敵対していた。クロアチアにおいてもマジャール人地主に対する農民の反感は強く,クロアチア人の総督となったイェラチッチは一方で農民たちの蜂起を抑えながらも,他方でハンガリーからの独立をめざし,そのために皇帝からの命を受けセルビア・クロアチア軍を指揮して革命ハンガリーを攻撃した。こうしてどこにおいても社会問題が民族運動に深くからみ合い問題は錯綜していた。…

※「イェラチッチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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