日本大百科全書(ニッポニカ) 「オイラー方程式」の意味・わかりやすい解説
オイラー方程式
おいらーほうていしき
Euler's equations
流体力学において、熱や粘性によるエネルギー散逸を無視できる完全流体(理想流体)の運動を表す方程式。18世紀の数学者、オイラーによって定式化された。剛体の運動を表すオイラーの運動方程式や解析力学のオイラー‐ラグランジュ方程式とは異なる。ある時刻(t)でのある場所(x、y、z)の流体の速度をv(vx、vy、vz)、流体の密度をρ、流体の圧力をp、単位質量当りの外力をf(fx、fy、fz)とすると
と表される。この方程式と流体の状態方程式p=f(ρ)と連続の方程式∂ρ/∂t+∇・(ρv)=0を組合せ、適切な境界条件と初期条件により流体の運動を計算する。粘性の効果が大きくない場合には、ナビエ‐ストークス方程式のかわりに使われる。
[山本将史 2021年7月16日]