日本大百科全書(ニッポニカ) 「方程式」の意味・わかりやすい解説
方程式
ほうていしき
変数(いろいろな値をとりうる文字)を含んだ等式で恒等式(変数に任意の数を代入して成り立つ等式)でないものを方程式という。たとえば3x+1=x+5,2x-y=1などである。方程式の中の変数を未知数といい、それ以外の数字または文字、すなわち定数を既知数という。方程式はいわば式中の変数のとりうる値を条件づける等式である。論理的用語でいえば、方程式は命題関数である。未知数のとりうる値を解または根(こん)、すべての解の集合を解集合という。また解集合を求めることを方程式を解くという。同一解集合をもつ二つの方程式は同値であるという。方程式の一般的解法は順次同値な方程式に置き換え(同値変形)てなされる。
方程式の両辺が未知数についての整式であるものを整方程式といい、未知数の個数を元(げん)の数、未知数の最高次数を方程式の次数という。たとえばx2-2x+3=0は一元二次であり、2x3+y=3は二元三次である。複素数を係数にもつ一元n次方程式は複素数の範囲内で、ちょうどn個の解をもつ(方程式論の基本定理)。ただし重根はその重なった数だけ数えるものとする。整方程式の解を係数の代数式(四則と開法を有限回施した式)で表すことを、代数的解法という。五次以上の一般的な整方程式を代数的に解くことはできない(アーベルの定理)。
たとえば(a-b)x=a2-b2においてa=bのときは0x=0となり、解が無限個ある。このような場合に方程式は不定であるという。またax=1においてaがゼロのとき、解が存在しない。このようなとき方程式は不能であるという。
xとyの二元方程式、たとえばx-y+1=0の解は、xが任意の実数αをとるとき、yはα+1の値をとる。いまこの解を座標平面上の点(α,α+1)で表すと、このような点の集合は、y切片1、傾き1の直線となる。このとき、この直線を与えられた方程式のグラフという。一般に二元方程式f(x,y)=0のグラフは平面曲線となる。とくに二元二次方程式
ax2+bxy+cy2+ex+fy+g=0
のグラフは二次曲線(または円錐(えんすい)曲線)になる。つまり円、楕円(だえん)、放物線、双曲線および二直線のいずれかである。方程式のグラフは方程式の幾何学的解法に用いられる。
[竹内芳男]