キリスト単性説(読み)キリストたんせいせつ(英語表記)monophysitism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キリスト単性説」の意味・わかりやすい解説

キリスト単性説
キリストたんせいせつ
monophysitism

イエスにおいて神性と人性が結合したのち,人性は神性に吸収されてしまい,1つの本性しか残らないとするキリスト教の異端説。反ネストリウスの立場からコンスタンチノープルの大修道院長エウチュケス (→エウテュケス派 ) が唱えたが,448年のコンスタンチノープル公会議で誤りとされた。エウチュケスを支持したアレクサンドリア総大司教ディオスコロスは 451年のカルケドン公会議で破門され,キリストには神人両性がそなわるとする「キリスト両性説」が確立された。単性説とされるものには,イエスの肉体は腐敗しえないとする不朽体説,十字架上で父なる神が受難したとする聖父受難説などがある。単性説はのちにキリスト単意説を生んだ。コプトシリアアルメニアの各教会もまた単性論派とされる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android