クライゼン転位(読み)クライゼンテンイ

化学辞典 第2版 「クライゼン転位」の解説

クライゼン転位
クライゼンテンイ
Claisen rearrangement

エノールまたはフェノールのアリルエーテルが,加熱によってC-アリル誘導体に転位する反応で,ナフタレン環アントラセン環複素環式化合物でも同様に転位する.

フェノールの両側オルト位がメチル基などで置換されていると,アリル基はパラ位に転位して,相当するp-アリルフェノールを生成する.14C を使った研究から,オルト転位ではアリルエーテルのγ炭素がオルト位に結合し,パラ転位ではα炭素が結合することが確かめられている.これは中間体にジエノンを生成する[3,3]シグマトロピー転位である.この転位はベンゼン環化合物だけでなく複素環化合物でもみられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クライゼン転位」の意味・わかりやすい解説

クライゼン転位
くらいぜんてんい
Claisen rearrangement

フェノールまたはエノール形化合物のo(オルト)-アリルエーテルを加熱するとアリール基が酸素原子から炭素原子に転位する有機化学反応。1912年ドイツのクライゼンRainer Ludwig Claisen(1851―1930)がみいだした。フェニルアリルエーテルからo-アリルフェノールへ転位するが、オルト位置がふさがっているとパラ位置に転位し、これをパラクライゼン転位という。

[湯川泰秀]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クライゼン転位」の意味・わかりやすい解説

クライゼン転位
クライゼンてんい
Claisen rearrangement

フェノールまたはエノールの O -アリルエーテルを加熱して,C -アリル化合物が生じる転位反応

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のクライゼン転位の言及

【転位】より

…これらは大別して,(a)中性分子で起こる転位,(b)カチオン系で起こる転位,(c)アニオン系で起こる転位,の三つに分類される。(1)の場合,コープ転位(式(1)),クライゼン転位(式(2))などがあり,これらは電子環状反応electrocyclic reaction(〈ウッドワード=ホフマン則〉の項参照)の一種である。(化学式)(2)に分類できる転位反応の代表例として,カルベニウムイオンにおける転位がある。…

※「クライゼン転位」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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