クリーン開発メカニズム(読み)くりーんかいはつめかにずむ(英語表記)Clean Development Mechanism

日本大百科全書(ニッポニカ)「クリーン開発メカニズム」の解説

クリーン開発メカニズム
くりーんかいはつめかにずむ
Clean Development Mechanism

先進国が開発途上国で温室効果ガスの削減プロジェクトを実施した場合に、排出削減量1t-CO2(二酸化炭素換算トン)ごとに削減クレジット(排出枠)が発行される仕組み。略称CDM。先進諸国は、国連気候変動枠組条約のもと1997年(平成9)採択された京都議定書により温室効果ガスの削減目標を課されており、その達成のために削減クレジットを用いることができる。削減クレジットは国際市場での取引が可能であり、プロジェクトを実施せずに削減クレジットを購入することも可能である。プロジェクトの実施主体はクレジットの売却益を得ることができ、一方、排出削減のコストが高い国や企業は、削減クレジットを購入することで効率的に自国の温室効果ガス排出削減目標を達成することができる。また、プロジェクトの実施を受け入れる開発途上国は、先進国からの投資や技術移転を期待できるという利点がある。

 このように市場メカニズムを利用し京都議定書の目標達成の柔軟性を高めるための措置は、CDMのほかに、共同実施、国際排出量取引の三つが規定されており、これらは京都メカニズムとよばれている。日本は1990年比6%の排出削減目標が課されており、「京都議定書目標達成計画」(2005年)は、削減目標のうち1.6%を京都メカニズムの活用により達成するとしている。2010年10月時点で約2400件のプロジェクトが国連に登録され、京都議定書の実施期間中(2012年まで)に約18億3000万t-CO2のクレジット発行が見込まれている。

 一方、プロジェクトが一部の開発途上国に偏在していることや、排出削減のプロジェクト審査が煩雑、といった問題があり、改善策が検討されている。

[伊藤葉子]

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知恵蔵「クリーン開発メカニズム」の解説

クリーン開発メカニズム

先進国と途上国が共同で、温室効果ガス削減プロジェクトを途上国において実施し、そこで生じた削減分の一部(認証排出削減量)を先進国がクレジットとして得て、自国の削減に充当できる仕組み。先進国にとっては、より少ない費用で二酸化炭素の排出量を削減でき、途上国にとっての持続可能な発展の支援もできる、という考えが背景にある。京都メカニズムの1つ。CDMでは、ベースライン(プロジェクトを実施しない場合での排出量)の設定や植林の扱いの問題、途上国からの削減量充当で先進国全体としての削減が緩められる「抜け穴」の要素が論点。2001年11月のマラケシュ合意では、CDM事業のルールの設定や事業のモニタリング計画の承認、排出権の認証をするCDM理事会も発足した。国内でも、環境省や経済産業省が事業化に向けた調査費を支援するなど、京都議定書発効を受けて、取り組みが活発化しつつある。 日本は、国内の削減が思うように進まない中、国も経済界もCDMクレジットの調達に大きな期待をかけている。

(飯田哲也 環境エネルギー政策研究所所長 / 2008年)

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デジタル大辞泉「クリーン開発メカニズム」の解説

クリーンかいはつ‐メカニズム【クリーン開発メカニズム】

京都議定書による京都メカニズムの一。温室効果ガスの排出量削減義務のある先進国が、その義務のない途上国において排出量削減事業に投資や技術支援を行い、そこで生じた排出削減量の一部を自国の削減量に充当する仕組み。CDM(clean development mechanism)。

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