ケリー(Ned Kelly)(読み)けりー(英語表記)Ned Kelly

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ケリー(Ned Kelly)
けりー
Ned Kelly
(1855―1880)

19世紀オーストラリアの強盗団のリーダー。「もっとも有名なオーストラリア人」といわれる。アイルランド系流刑囚を父としてビクトリア州に生まれる。7歳で父に死なれ、貧困のゆえに大牧場主の羊や牛を盗み、少年時代にしばしば投獄された。1878年ビクトリア州北東部の未開地に逃れ、弟ら3人とともに銀行襲撃、警官射殺などの犯行を重ねた。80年6月、同州グレンローワンのホテルを占拠しているところを警官隊に包囲されて銃撃戦となり、他の3人は死亡したが、ネッドは鋤(すき)の刃でつくった防弾甲冑(かっちゅう)を着用して抵抗、負傷して逮捕された。同年11月メルボルンで絞首刑に処された。権威に対する抵抗の、また立憲君主制に反対する共和制派の象徴として民衆のヒーローとなっている。

[越智道雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例