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権威 けんいauthority

翻訳|authority

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

権威
けんい
authority

制度,地位,人格などに優越的な価値や力が属しているため服従を要求できる力。権威の源泉と考えられるものには M.ウェーバーのいう人格的カリスマ,伝統や制度の神聖視,組織上の合理化された権限などがあるが,これらはしばしば複合化して現れる。権威それ自体は強制的権力そのものでも,真理のような価値でもなく,その本質は服従者の受容を条件として成り立つ社会的な力であるといえる。

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デジタル大辞泉の解説

けん‐い〔‐ヰ〕【権威】

他の者を服従させる威力。「行政の権威が失墜する」「親の権威を示す」
ある分野において優れたものとして信頼されていること。その分野で、知識や技術が抜きんでて優れていると一般に認められていること。また、その人。オーソリティー。「権威ある賞を受賞する」「心臓外科の権威

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百科事典マイペディアの解説

権威【けんい】

服従者を内面的に信服させる力をもつ社会的影響力や制度,人格。社会のどの分野にもみられる社会的権威,政治権力と結びついた政治的権威,産業社会化の進展で社会的権威から出てきた専門的権威などに区分される。
→関連項目権威主義

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世界大百科事典 第2版の解説

けんい【権威 authority】

一般に,メッセージの発信者と受信者との間に社会的に認められた関係が成り立っていて,発信者が発信する判断,決定,指示,暗示等のメッセージが,その内容を問われることなく自発的に受信者に受け入れられる場合に,両者の関係,また発信者の能力,さらにまた発信者それ自体を権威と呼ぶ。この場合,発信者と受信者は,人,集団,職業,資格,地位等のいずれでもあり得る。権威は,第1に社会のどの分野にもみられる社会的権威,第2に政治権力に付着する政治的権威,第3に産業社会化に伴って専門機構の帯びる専門的権威に区別することができる。

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大辞林 第三版の解説

けんい【権威】

他を支配し服従させる力。 「親の-を示す」 「 -が失墜する」
ある方面でぬきんでてすぐれていると一般に認められていること。また、そのような人。オーソリティー。 「その道の-」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

権威
けんい
authority

権威ということばは、さまざまな意味で一般に用いられる。日常的には、特定の分野における優れた人物や事物をさしたり、社会的信用や資格を意味したりするが、共通していることは、「社会的に承認を受けた」ということである。社会関係においては、制度、地位、人物などが優越的な価値を有するものと認められ、それらの遂行する社会的機能が社会によって承認される場合、それらの制度、地位、人物は権威を有している、という。この権威現象がもっとも顕著な支配・服従関係に限定すれば、強制力をもつ権力が社会的承認によって妥当性をもつに至った場合、権威が成立する。権力者が権力をもち、その権力を行使することが正しいと服従する者から認められる場合、服従者にとっては、その権力に服従することが正しいことであり、内容の吟味は二義的なものになってしまう。そして、強制によるのではなく、自発性をもって権力に服従することになる。このように、権力関係の正当性の信念が服従者に植え付けられたとき、権力は権威とよばれる。[谷藤悦史]

権威の形成過程

権力的支配関係は本来不安定なものである。というのは、権力への服従は、服従者にとって不本意なものにほかならず、不利益を意味するからである。しかし、権力関係の成立によってもたらされる秩序の安定は、服従者にとって利益となることも事実である。服従者は、こうした利益・不利益さらには力関係をも含めて合理的に検討し、服従の道を選択する。この権力関係が長く持続されると、服従がしだいに制度化され、無批判的服従が一般化するようになる。そして、服従によってもたらされた秩序の安定が利益の源であるにもかかわらず、権力者が利益を創出しているという錯覚が生じる。優越的権力に対する服従は、権力者の優越的能力に対する服従へと転化し、より積極的なものとなる。服従は権力者の人格そのものに向けられ、その人格の営むすべての社会的機能が服従に値するものとなる。[谷藤悦史]

権威の機能

権力は、いったん獲得されると、その維持のために多くの努力が払われなければならない。物理的強制力や経済的その他の利便の供与などもそのための重要な手段である。しかし、これらは、服従者に反感を醸成して彼らに抵抗の機会を与えたり、利便供与の停止が服従の撤回につながるなど、維持のコストは増大することこそあれ、けっして減少はしない。こうした手段のみでは、権力の永続化や安定化は望めない。
 権力は正当化されることによって、すなわち権威に転化されることによって、服従者からの積極的服従を調達することができ、安定したものになる。いったん服従者からの信頼をかちえると、権力者がマイナス機能を遂行しない限り、それほど能動的な維持努力を払わなくても信頼関係は破壊されないので、権力維持のコストは安くつく。このため、権力者にとって、権力の正当性の信念を服従者に植え付け、権威によって権力関係の安定化を図ることは、つねに重要な関心事である。権力獲得の契機あるいは手段がいかに非合法的であろうとも、権力者はつねに権力の正当化に努める。こうした権力過程を丸山真男(まさお)の「権力の再生産過程モデル」で表すと、(C―)D―L―O―D(―S)となる。紛争conflictが起こり、力を背景とした支配・服従関係dominance and subjugationが成立する。そして、権力の正当化legitimationを通じて権力を組織化organizationし、服従者に諸価値を配分distributionして解決solutionするのである。
 権威は服従者にとっても有用なものである。H・サイモンによれば、権威とは、「他人からの通信messageを、その内容を自身で吟味せずに、しかし進んで受容する現象」であり、精神的労苦の節約になる。すなわち、多くの人々は、自己の意思決定を権威に任せることによって、自信のない問題について決断を下す煩わしさから解放される。[谷藤悦史]

権力の正当性

権力が権威に転化するのは、服従者による権力の正当性の是認である。M・ウェーバーはこの正当性について三つの基本的タイプを提示した。合理(法)的正当性は、秩序、制度、地位などの合法性に基づいたものであり、法をその基礎に置いている。権力の行使が適切な手続によって作成された法律に従っているために正当性が生ずるのであり、服従は個人に対して向けられたものではなく、法で定められた地位や権限に向けられたものである。伝統的正当性においては、伝統が神聖化され、支配者は血統、家系、伝統によってその地位につき、伝統的手続に基づいて権力を行使するために内面的な服従を獲得する。カリスマ的正当性は、支配者個人の超人間的・超自然的資質、またその個人を通じて発せられる啓示に対する個人的帰依に基づく正当性である。丸山真男はこの三つのタイプに加えて、神権説や人民主権によっても正当性が成立するとした。[谷藤悦史]
『丸山真男著『政治の世界』(1952・御茶の水書房) ▽H・ラスウェル著、永井陽之助訳『権力と人間』(1966・東京創元社) ▽M・ウェーバー著、世良晃志郎訳『支配の諸類型』(1972・創文社)』

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世界大百科事典内の権威の言及

【権力】より


[権力と権威]
 この文脈で政治権力をめぐる中心的な主題として論じられてきたのは,権力と権威の関係であった。ここで権威authorityとは,ある領域の事柄に関して,無条件の自発的服従の調達を可能にするような正統性の根拠である。個々の命令の当否を判断することなく,命令を発する者に無条件に従うところに,権威関係の特徴がある。…

【権力】より

…ここで強制とは,価値剝奪(制裁)あるいはその威嚇をもって他者の行動に影響を与えることである(この価値剝奪には,期待される利益の賦与を差し止める場合も含まれよう)。もちろん,権力者は,通常の場合には,奨励(利益誘導)や義務づけ(権威・規範への訴えかけ)あるいは操作(心理的宣伝),説得(合理的議論)などに訴えるかもしれないが,これらの手段に失敗したあと(あるいはこれらの手段に従わない一部の者に対して),最終的手段ultima ratioとして強制力の行使(強権的手段の発動)に訴えることができなければ,これを権力の担い手と呼ぶことは適当ではない。逆に,強制以外の手段を補助手段としてもたず,絶えず強制に依存せざるをえない場合(これをむきだしの権力,あるいは裸の権力という)には,とうていその地位は安定的であるとはいえない。…

※「権威」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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