テングダニ(読み)てんぐだに(英語表記)snout mites

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テングダニ」の意味・わかりやすい解説

テングダニ
てんぐだに / 天狗蜱
snout mites

節足動物門クモ綱ダニ目テングダニ科Bdellidaeのダニの総称。体の前端部が鋭くとがって伸長しているのでこの名がついた。この科の種類は、体長0.8~2.5ミリメートル、全体に赤色鮮紅色黄橙(こうとう)色などでよく目だつ。肩のあたりに2対の目をもつ。触肢はあたかも触角のようによく発達し、歩脚(ほきゃく)と同じくらいの長さがある。森林の落ち葉の間、植物体の上、海岸の干満線間の岩上、打ち上げられた海藻の下などにすみ、小虫などを捕食する。すばやく後ずさりする習性がある。日本にアカテングダニBdella muscorum、ヤマトテングダニBdella japonicaなど20種近くいる。

[青木淳一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のテングダニの言及

【ダニ(蜱∥蟎∥壁蝨)】より

…赤道直下の熱帯から,標高3000m以上の高山や南極にも生息し,森林,草原,湿原,海浜,湖沼,河川,洞穴,温泉,さらに人為的な影響下にある果樹園,畑,牧場,ゴルフ場,庭園,道路の植込みに至るまで,あらゆる場所に無害なダニが見られる。そのうち,ササラダニは土壌中に生活して落葉などの植物遺体の分解に関与して,豊かな土づくりに貢献しているし,樹木の上をパトロールするカブリダニ,ナガヒシダニ,テングダニなどは農林害虫となるハダニを捕食してくれる。セミ,バッタ,トンボ,カメムシ,ガなどに寄生するダニも種類が多い。…

※「テングダニ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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