ディディエレア科(読み)でぃでぃえれあか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディディエレア科」の意味・わかりやすい解説

ディディエレア科
でぃでぃえれあか
[学] Didiereaceae

双子葉植物、離弁花類。ディディエレア属Didierea2種、アルオウディア属Alluaudia6種、アルオウディオプシス属Alluaudiopsis2種、およびデカリィア属Decarya1種の計4属11種がマダガスカル島南西部の乾燥地に林立し、独自の景観をつくっている。樹木状の多肉植物で、内部に水分を蓄え、姿はハシラサボテンに似る。葉は多肉質で、退行傾向にあり、乾期には落葉する。アルオウディア属では初年枝の葉は水平であるが、翌年以降は毎年垂直に幹から直接芽吹く。その短枝は幹に埋もれているが、ディディエレア属では刺(とげ)のある多数の短枝が幹を取り巻く。デカリィア属の若い枝はジグザグに伸びる。花はいずれも4数性。中心子目と共通のベタシアニン系の色素を含み、サボテンや中心子目のスベリヒユ科と科間接木(つぎき)ができ、系統上は近い。

[湯浅浩史 2021年2月17日]

 APG分類でもディディエレア科とされる。カナボウノキ科ともいう。アフリカ南部に分布しているPortulacaria属などがスベリヒユ科から加わって、世界に7属22種が分布する。

[編集部 2021年2月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のディディエレア科の言及

【多肉植物】より

…熱帯を中心に世界各地の乾燥地域で進化した50科8000種以上の大群である。系統的にはまったく異なった植物群で,独立的に多肉化が起こっていて,ほぼ全種が多肉植物で構成される代表的な科には,ベンケイソウ科(35属1300種),ツルナ科(リトープス属Lithops,マツバギク属Lampranthusなど130属2000種),スベリヒユ科(アナカムプセロス属Anacampseros50種,スベリヒユ属Portulaca30種,レビシア属Lewisia20種など16属500種),ディディエレア科(ディディエレア属Didierea2種,アルアウディア属Alluaudia6種など4属11種)がある。科か属の大多数あるいは一部が多肉植物であるものには,ガガイモ科のスタペリア類(スタペリア属Stapelia,カラルマ属Caralluma,ホオディア属Hoodia,トリコカウロン属Trichocaulon),セロペギア属Ceropegia,サクララン属Hoyaなど28属700種,ユリ科のアロエ類(アロエ属Aloe,ハウォルティア属Haworthia,ガステリア属Gasteriaなど),トウダイグサ科のユーフォルビアEuphorbia(多肉種500種),モナデニウム属Monadenium(50種),ヤトロファ(ナンヨウアブラギリ)属Jatropha(10種),リュウゼツラン科のリュウゼツラン属Agave(300種),トックリラン属Nolina(25種),ユッカ(キミガヨラン)属Yucca(60種)など7属485種,キョウチクトウ科のパキポジウム属Pachypodium(20種),アデニウム属Adenium(12種),キク科の多肉セネシオ類(80種),オトンナ属Othonna(40種),ブドウ科のシッサス属Cissus(15種),コショウ科のペペロミア属Peperomia(100種以上),アカザ科のアッケシソウ属Salicornia(30種),フウロソウ科のサルコカウロン属Sarcocaulon(12種),トケイソウ科のアデニア属Adenia(20種),ウリ科のクセロシキオス属Xerosicyos(2種),フォウキエリア科の観峰玉(かんぽうぎよく)Idria columnaris Kellog.などがある。…

※「ディディエレア科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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