トラキニアイ(その他表記)Trachiniai

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トラキニアイ」の意味・わかりやすい解説

トラキニアイ
Trachiniai

ギリシアの劇詩人ソフォクレスの悲劇。ヘラクレス遠征から帰還したときに,妻のデイアネイラは夫が捕虜の娘イオレに心を移したことを知って,愛を取戻そうとする。昔ケンタウロスのネッソスが,彼女を誘拐しようとしてヘラクレスの矢に倒れたとき,傷口から流れる毒血を愛の妙薬と偽って彼女に贈ったことがあった。彼女はそれを取出して夫の衣装に塗りこめる。ネッソスの毒血はヘラクレスの体を焼き,激しい苦悶を与えた。真実を知って,デイアネイラは自殺。ヘラクレスは息子のヒュロスに自分の瀕死の体をオイタ山の上まで運ばせ,生きながら火葬するように,そしてイオレと結婚するようにと命じる。ヒュロスは神々を責めながらもこの命令に従う。舞台はギリシア北部フォキスの町トラキスで,町の乙女たちが合唱隊を構成する。

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