ドゥーメル(読み)どぅーめる(英語表記)Paul Doumer

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドゥーメル」の意味・わかりやすい解説

ドゥーメル
どぅーめる
Paul Doumer
(1857―1932)

フランスの政治家。第三共和政の第13代大統領。コレージュの数学教師、政治評論活動を経て、1888年急進党系の下院議員に選出される。1895年、L・ブルジョア内閣の蔵相となり、累進所得税の導入を図ったが上院の抵抗にあって果たせず、1897年仏領インドシナ総督(~1902)に転出して植民地財政の再建にあたった。帰国後は急進党色を薄め、1905年下院議長、1906年の大統領選には保守系候補としてたったが落選。1912年には上院議員となり、第一次世界大戦後は第七次(1921~1922)、第八次(1925~1926)ブリアン内閣の蔵相として入閣、フラン危機克服のため均衡財政を提唱したが各方面の反対にあい辞任。1927年に上院議長となり、世界恐慌の波に揺れる1931年5月には、上院と保守派の支持を得てブリアン、マローを破り、大統領に選出された。しかし翌1932年5月左派の下院進出と政情不安のさなか、白系ロシア人ゴルグロフの凶弾に倒れた。

谷川 稔]

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