日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナキイナゴ」の意味・わかりやすい解説
ナキイナゴ
なきいなご / 鳴蝗
[学] Mongolotettix japonicus
昆虫綱直翅(ちょくし)目バッタ科に属する昆虫。6月ごろから夏の間、明るいススキ草原などによくみられる黄金色のバッタ。イナゴの名がつくが、いわゆるイナゴのグループとは異なるバッタの1種。雄は小形で、体長18ミリメートル内外、短めの前翅はやや幅広く、腹部からすこし盛り上がるように位置している。日中、後脚の腿節(たいせつ)をこの前翅にこすりつけて、ジリジリとよく鳴く。腹端はとがっている。雌は体長28ミリメートル内外で、雄より大きい。色は枯れ草色に近いものまである。はねは退化し、前翅はほぼ前胸背の長さに等しく、先がとがっている。この雌にはときに長翅型の現れることもある。日本全土、またアジア極東部に分布する。
[山崎柄根]