パソ(その他表記)Paso, Fernando del

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パソ」の意味・わかりやすい解説

パソ
Paso, Fernando del

[生]1935.4.1. メキシコシティー
[没]2018.11.14. グアダラハラ
メキシコの小説家,美術家。メキシコ国立大学で生物学と経済学を学んだのち,1958年に "Sonetos de lo diario"を発表した。当時,絵画にも手を染め,その後ヨーロッパやアメリカ合衆国で展覧会を催した。小説家としてはジェームズ・ジョイス,ウィリアム・フォークナー,カルロス・フエンテスなどの影響を受けた。現代社会の矛盾浮き彫りにした『ホセ・トリーゴ』José Trigo(1966)で小説家としてデビュー。同作品はメキシコとアメリカで批評家らの好評を得て,ハビエル・ビリャウルティア賞を受賞した。アンチヒーローの華麗な冒険を語った『メキシコのパリヌロ』Palinuro de México(1977)で 1982年,ロムロ・ガリェゴス賞を受賞。メキシコ皇帝マクシミリアン悲運を語った『帝国の情報』Noticias del Imperio(1987)はメキシコ文学の最高傑作の一つといわれる。1988年には子供向けの詩集 "De la A a la Z por un poeta"を著した。2015年セルバンテス賞を受賞。

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世界大百科事典(旧版)内のパソの言及

【スペイン演劇】より

…作家として,また役者としても活躍したが,当時イベリア半島を巡回していたイタリアの劇団から多くの影響を受けている。彼のパソpasoと呼ばれる笑劇は,〈黄金世紀〉のエントレメスentremésの直接的前身であり,また,後のグラシオーソgraciosoに通ずる道化役の創造もみられる。この頃には演劇活動は,特定の宗教上の祭日(聖体祭,謝肉祭,降誕祭など)以外の日にも上演ができるようになり,さらに,宿屋や居酒屋などの中庭などでも上演されるようになった。…

【ルエダ】より

…スペインの劇作家。金箔職人であったが,職を捨てて劇団を組織し,座長として,また自ら役者としても活躍した。作家としては,イタリア演劇の影響の強い作品4編を残しているが,重要なのはパーソと呼ばれる短い笑劇である。これは主として幕間に上演されたが,民衆の生活をおもしろおかしく扱った写実性の強いもので,〈黄金世紀〉のエントレメスの前身である。また,ここに現れる人物は,後の道化役(グラシオーソ)の前身と考えられる。…

※「パソ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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