ブーシコー(英語表記)Aristide Boucicaut

改訂新版 世界大百科事典 「ブーシコー」の意味・わかりやすい解説

ブーシコー
Aristide Boucicaut
生没年:1810-77

フランス実業家。19世紀,パリ最初の百貨店ボンマルシェBon Marchéの経営に成功した。1830年前後からパリには服地織物を大量に販売するマガザン・ド・ヌーボーテmagazin de nouveautéと呼ばれる商店が発生したが,彼はこうした店の一つで大量販売の方法を身につけた。52年にまだ店員12名にすぎなかったボン・マルシェの所有者となり,第二帝政下の経済繁栄の波にのって百貨店商法を発展させ,69年には鉄とガラスを大量に使用した店舗を建設して大百貨店をつくりあげた。このイメージを売る魅惑の〈大殿堂〉で,商品を豪華に飾りつけるとともに,店内に読書室を設けたり,美術品展示や音楽会の開催などを行った。同時に低価格の販売を心がけ,入口通路には特価品販売場を備えるなど,現代に連なる販売方法を創出した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のブーシコーの言及

【ボン・マルシェ[会社]】より

…本店パリ。1852年,ブーシコーAristide Boucicaut(1810‐77)によってパリに設立され,世界の商業史における近代的百貨店の始祖といわれている。その新しさは,(1)だれでも店に出入りできるようにしたこと,(2)商品に定価をつけ,だれにでも同一価格で売ったこと,(3)商品を大量陳列し,お客が手に取って見られるようにしたこと,(4)商品の返品ができるようにしたこと,(5)商品の価格を低く抑え,商品の回転率を高くしたこと,などの点である。…

※「ブーシコー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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