マルシェ(読み)まるしぇ(英語表記)Georges Marchais

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルシェ」の意味・わかりやすい解説

マルシェ
まるしぇ
Georges Marchais
(1920―1997)

フランスの政治家。カルバドス県の生まれ。航空機工場の機械工として出発し、第二次世界大戦中は徴用されドイツで働いた経験がある。戦後は労働組合運動で活動するなかで、1947年に共産党入党。党内で順調に昇進を重ね、1959年に政治局員、1970年副書記長、1972年には病気のワルデック・ロシェにかわって書記長に就任した。1973年以来下院議員でもある。この間、1972年6月に社会党との間で政府共同綱領を成立させ左翼連合結成に寄与した。1981年の大統領選挙では社会党のミッテラン候補のために自らは第2回投票で立候補を辞退して、後者の大統領当選に貢献し、同政府に4名の共産党員を入閣させた。イタリア、スペインの共産党とともにプロレタリア独裁を放棄する「ユーロコミュニズム」路線を提唱したが、旧ソ連軍のアフガニスタン侵攻やポーランドの「連帯」運動評価などで親ソ派の本音をみせ、党勢退潮と相まって党内に批判勢力の台頭を招いた。1994年の党大会で書記長を辞任し、1996年に引退。1997年11月パリ市内の病院で死去

[平瀬徹也]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルシェ」の意味・わかりやすい解説

マルシェ
Marchais, Georges

[生]1920.6.7. カルバドス,ラオゲット
[没]1997.11.17. パリ
フランスの政治家。工員出身。第2次世界大戦中ドイツで強制労働をさせられたが脱走,帰国してレジスタンス運動に参加。 1946年パリ金属労連書記長。 47年フランス共産党入党。 51年フランス労働総同盟 CGT幹部。 59年党中央委員兼政治局員。 61年党書記,70年党書記長代理,72年党書記長。同年6月社会党と共同政府綱領に調印。 73年総選挙で左翼の大量進出を果し,みずからも下院議員当選。彼の指導下にフランス共産党はプロレタリア独裁を放棄,いわゆるユーロコミュニズムの道をとった。 78年3月の総選挙では左翼陣営の優勢が予想されたが,社会党と企業の国有化をめぐって対立,与党連合に名をなさしめた。 1980年代にはポーランドの連帯運動に対する弾圧を支持し,ソ連共産党歩調を合せたため党内外から批判を浴びた。ユーロコミュニズムの退潮とも重なって退陣を求める声が高まり,94年党書記長退任。

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