ムチヘビ

改訂新版 世界大百科事典 「ムチヘビ」の意味・わかりやすい解説

ムチヘビ (鞭蛇)

ナミヘビ科に属するむちのように細長い無毒ヘビの総称。アメリカムチヘビ属Masticophis(英名whip snake)8種が北アメリカ,中央アメリカに,ムチヘビ属Coluber(英名racer)約34種がヨーロッパ,北アフリカ,アジアおよび北アメリカに分布する。全長はふつうは1~1.8mほどで,胴も尾も細長くてしなやか。頭部はやや扁平で幅広く頸部(けいぶ)がくびれ,眼が大きい。地上性で行動が敏しょうであり,もっとも速く走るヘビの一つとされる。おもにトカゲ,小ヘビなどを食べる。ヨーロッパ中・南部に産するヨーロッパムチヘビC.viridiflavusは全長1.5~2m,昼行性で,森林周辺や荒地から庭園の乾いた場所にすみ,やぶや岩に登ることもある。餌はトカゲ,小ヘビ,小鳥,カエルなどで,胴で巻き締めることなくそのまま飲み込む。アメリカ合衆国南部に広く分布するバシャノムチヘビM.flagellum(英名coach whip snake)は全長1.5~2.5mで,ムチヘビ類では最大。卵生で夏に8~12個ほどを産卵する。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android