ムルット族(読み)ムルットぞく(その他表記)Murut

改訂新版 世界大百科事典 「ムルット族」の意味・わかりやすい解説

ムルット族 (ムルットぞく)
Murut

東南アジア,ボルネオ島北部のマレーシア領サバ州サラワク州およびインドネシア領東カリマンタン州にかけての内陸住民に与えられた名称であるが,言語・文化的にきわめて異なる諸集団をその中に含んでいる。サバ州内のムルット族は言語的にフィリピンの諸民族に親縁関係を有し,伝統的に焼畑による陸稲栽培に従事している。サラワク州からカリマンタン側のムルット族は,ルン,ダイェ,ケラビットなどの諸族からなり,高地における灌漑水田耕法を発達させている。ムルット諸族全体をとおしてロングハウスが本来の居住形態であったが,サバ州のムルット族のあいだではこれはほとんど消滅した。文化史的に最も重要なのはケラビット族における巨石記念物の建造である。米の余剰製塩によって富を蓄積した者が祭宴を挙行し,そこに招かれた客が主宰者の名誉をたたえてドルメン,メンヒルなどを建てる。生きた巨石文化の最適例の一つである。
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