改訂新版 世界大百科事典 「ロングハウス」の意味・わかりやすい解説
ロングハウス
longhouse
東南アジアに多く見られる長大な家屋で,1棟に多数の家族が居住する。インドシナ半島のセダン,マ,ノン,ラデ族,スマトラのカロ・バタク族などに見られ,ボルネオの陸ダヤク族,イバン族,カヤン族,クニャー族では大型のものが多い。たとえばイバン族のロングハウスは,長さ150m,幅12m(露台を加えて17m),木造高床式で,タンジュ(露台),ルアイ(廊下),ビレック(家族の居室と台所),サダウ(大きい屋根裏)の4部分から構成される。廊下は共同で利用する接客,作業場,通路で,ビレックは各家族の居室兼寝室である。このロングハウスは41ビレックを有するが,それぞれ核家族で住み,居住者は合計256人,1村1家屋からなっており,ほぼ中央に首長のビレックがある。イバン族は焼畑耕作を営んでいるが,近年水田耕作に移ったところではロングハウスは減少している。規模は小さいが北アメリカのイロコイ族の住居もロングハウスであった。
→住居
執筆者:杉本 尚次
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報