ワルザー(Martin Walser)(読み)わるざー(英語表記)Martin Walser

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ワルザー(Martin Walser)
わるざー
Martin Walser
(1927―2023)

ドイツの作家。「ある形式の記述―カフカ試論―」で学位取得。南ドイツ放送局にディレクターとして勤務。「グループ47」の主導者H・W・リヒターにみいだされる。放送劇『愚かな人々』(1952)より近作スワンの館』(1980)まで、戦後西ドイツの社会が直面するアクチュアルな問題―ナチズム、ユダヤ人、東西ドイツ、高度経済成長と精神的退廃といった問題を「顕微鏡主義」といわれる精密描写の手法によってクローズアップした。おもな作品には『フィリプスブルクのさまざまな結婚』(1957)、『ハーフタイム』(1960)、『樫(かし)の木とアンゴラ兎(うさぎ)―あるドイツ年代記』(1962)、『愛のかなた』(1976)、『逃げる馬』(1978)、『白鳥の家』(1980)、『狩り』(1988)、『子供時代の弁護』(1991)などがある。

谷口 泰]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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