精選版 日本国語大辞典 「白鳥」の意味・読み・例文・類語
はく‐ちょう ‥テウ【白鳥】
[1] 〘名〙
① 羽毛の白い鳥の総称。
※太平記(14C後)一七「白鳥(ハクテウ)の羽にてはぎたる矢の、十五束三臥有けるを」 〔詩経‐大雅・霊台〕
② カモ科ハクチョウ属の鳥の総称。大形の水鳥で、全長一一〇~一五〇センチメートル。体は純白で、くびが長く、太い声を出す。コハクチョウ、大型種のオオハクチョウ、くちばし基部に黒色のこぶ状突起のあるコブハクチョウの三種がよく知られる。前二種はユーラシア大陸北部で繁殖し、日本には冬季に北海道・本州に渡来する。青森県小湊はオオハクチョウの渡来地として天然記念物に指定。コブハクチョウは日本に渡来しないが公園などで飼育される。くぐい。しらとり。こう。スワン。白鳳。《季・冬》
※古事談(1212‐15頃)一「有二白鳥一〈羽長四尺計。身長三尺〉来二住侍従池一」
※即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉水の都「只だ美しきヱネチアの鵠(ハクテウ)の尸(かばね)の如く波の上に浮べるを見るのみ」
③ 白鳥徳利。また、それに酒を詰めたもの。
※雑俳・柳多留‐三二(1805)「白鳥をろうかとんびがさらってく」
④ 「か(蚊)」の異称。
※壒嚢鈔(1445‐46)五「白鳥とは蚊也。大戴礼小正に曰、白鳥は蚊
也と」

[2]
[二] =はくちょうざ(白鳥座)
※南蛮更紗(1924)〈新村出〉星夜讚美の女性歌人「北十字星てふ白鳥が向きをかへて、見つけた私たちの眼を迷はす」
しら‐とり【白鳥】
〘名〙
① 羽毛の白い鳥。
※別離(1910)〈若山牧水〉上「白鳥(シラトリ)は哀しからずや空の青海の青にも染まずただよふ」
② 「はくちょう(白鳥)」の異名。
※書紀(720)仲哀元年一一月(北野本南北朝期訓)「神霊 白鳥(シラトリ)になりて天(あめ)に上(のほ)りたまひき」
③ 鳥「さぎ(鷺)」の異名。
※書陵部本拾遺愚草抄書(室町)注文「しら鳥とはくらゐをも云。又白鷺をもいへり」
しろとり【白鳥】
姓氏の一つ。
しらとり【白鳥】
姓氏の一つ。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報