下戸の建てたる倉も無し(読み)ゲコノタテタルクラモナシ

デジタル大辞泉 「下戸の建てたる倉も無し」の意味・読み・例文・類語

下戸げこてたるくら

酒に金を使わないからといって、財産家になったという話も聞かない。ほどほどに酒を飲んで楽しんだほうがよい。

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精選版 日本国語大辞典 「下戸の建てたる倉も無し」の意味・読み・例文・類語

げこ【下戸】 の 建(た)てたる倉(くら)も無(な)

  1. 酒を飲まない者は金を残しそうなものだが、必ずしも金を残し、倉を建てたという話もきかない。適当に飲んで楽しむほうがよいという意。〔酒食論(室町)〕

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ことわざを知る辞典 「下戸の建てたる倉も無し」の解説

下戸の建てたる倉も無し

酒の飲めない人間は、むだな金を使わないので倉でも建ちそうなものだが、案外そういう話は聞かない。

[使用例] どうだい、男の働きを見たか、惚れ直せ、下戸の建てたる蔵は無いと唄にもあるが、ま、心祝いに一ぱいやろうか、と除夜の鐘を聞きながら、ほっとして女房に酒の仕度を言いつけた時、「ごめん」と門に人の声[太宰治*新釈諸国噺|1945]

[解説] 必ずしも社会生活の実態を示したものではなく、酒飲み自己弁護に引くことが多いことば。前に「上戸の建てた倉はあるが」と付けたり、「御神酒あがらぬ神はなし」と続けていうこともあります。また、「上戸の倉も建ちはせねども」とか「上戸のつぶした倉はある」などと続けて、酒飲みをからかったり、自嘲していうこともあります。

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