国指定史跡ガイド 「下総小金中野牧跡」の解説
しもうさこがねなかのまきあと【下総小金中野牧跡】
千葉県鎌ケ谷市東中沢・初富本町ほかにある牧の跡。江戸幕府がみずからの軍馬の需要をまかなうため、下総国西部に設けた幕府直轄の牧の跡。江戸幕府はその軍事力を維持し、軍馬を安定的に確保するため、下総国に小金牧・佐倉牧、安房国に嶺岡(みねおか)牧、駿河国に愛鷹(あしたか)牧を置いた。下総に牧の大半が置かれたのは、江戸に近く、古代・中世に牧が置かれていた歴史に加え、広大な台地が平坦に続くという北総台地の地形的な条件が適っていたことによる。小金牧は慶長年間(1596~1615年)に設置され、明治維新で廃止されるまで存続し、江戸時代後期には高田台牧・上野牧・中野牧・下野牧・印西牧の5牧からなっていた。中野牧は、現在の柏市・松戸市・鎌ケ谷市・白井市・船橋市域に及び、1725年(享保10)、8代将軍徳川吉宗による鹿狩り以降、歴代将軍の鹿狩りの場となったことや、「御放馬囲い」と呼ぶ将軍家などの乗用馬の飼育施設が設けられ、小金5牧で最も重要視されていた。江戸幕府の軍事力を支えた軍馬生産の様相を知るうえで貴重であることから、2007年(平成19)に国の史跡に指定された。新京成電鉄北初富駅から徒歩約5分。