中寺廃寺跡(読み)なかでらはいじあと

国指定史跡ガイド 「中寺廃寺跡」の解説

なかでらはいじあと【中寺廃寺跡】


香川県仲多度郡まんのう町造田にある寺院跡。讃岐山脈第2の高峰、大川山(標高1043m)の山中に立地する。尾根斜面を平坦に区画し、寺域は東西約400m、南北約600m、発掘調査によって、仏堂・塔・僧坊などの建物跡が確認され、須恵器(すえき)の壺・土師器(はじき)の甕(かめ)・西播磨産須恵器多口瓶・越州窯青磁碗などが出土した。平面がほぼ方形の石組み遺構16基が確認され、供養仏塔などの可能性も考えられている。出土遺物から、奈良時代後期ごろに創建された山林(山岳)寺院跡で、平安時代に隆盛し、鎌倉時代以降に衰退したと推定されている。平地に立地する寺院が一般的であったが、平安時代に入ると、比叡山延暦寺(ひえいざんえんりゃくじ)や高野山金剛峯寺(こんごうぶじ)など山林(山岳)寺院が造営されるようになった。中寺廃寺跡から、山林寺院は中央だけでなく地方でも広く営まれていたことがわかる。平安仏教の地方における展開を考えるうえで重要であり、2008年(平成20)に国の史跡に指定された。JR土讃線琴平駅から琴参バス「天川」下車、徒歩約2時間。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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