国指定史跡ガイド 「久世廃寺跡」の解説
くぜはいじあと【久世廃寺跡】
京都府城陽(じょうよう)市久世芝ヶ原にある寺院跡。木津川右岸丘陵の支脈である芝ヶ原丘陵の西南端に位置し、法起寺(ほっきじ)式伽藍(がらん)配置の塔跡や金堂跡、講堂跡が土壇としてよく保存されている古代寺院跡。奈良時代前期に創建され、11世紀前半に廃絶したが、四面庇の特異な構造の建物跡だったことが確認されている。また、境内背後地から平安時代の多量の瓦や鉄釘が発掘され、奈良時代末期の金銅製誕生釈迦仏立像などの重要な遺物も多数発掘されている。廃寺跡の東側は現在、久世神社になっているが、おもな建物跡がよく保存され、古代久世郡衙(ぐんが)と推定される遺跡もあって、南山城(みなみやましろ)地方の古代寺院を考えるうえで重要な遺跡であることから、2007年(平成19)に国の史跡に指定された。JR奈良線城陽駅から徒歩約5分。