改訂新版 世界大百科事典 「二酸化セレン」の意味・わかりやすい解説
二酸化セレン (にさんかセレン)
selenium dioxide
化学式SeO2。セレンを6規定硝酸に溶解して亜セレン酸H2SeO3をつくり,これを熱分解するか,セレンを空気または酸素気流中で燃焼させると生ずる。無色揮発性の固体。比重3.95(16℃),融点340℃,317℃で昇華しはじめる。気体では対称折線形構造をとり,結合間隔は1.61Å。結晶中ではSeとOが正四面体に似た状態で交互に連なる無限鎖構造である(図)。水に溶けて亜セレン酸になる。還元されやすく,アンモニアガスや,硫酸溶液中では二酸化硫黄によって還元されてセレンになる。金属セレン製造の中間生成物として重要である。触媒として有機反応に用いられる。
執筆者:漆山 秋雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報