化学辞典 第2版 「酸化セレン」の解説
酸化セレン
サンカセレン
selenium oxide
【Ⅰ】酸化セレン(Ⅳ):SeO2(110.96).二酸化セレンともいう.セレンを酸素気流中500 ℃ で白金触媒を用いて燃焼させるか,熱濃硝酸中にセレンを加えて得た亜セレン酸水溶液を蒸発乾固して脱水すると得られる.雪白光沢の揮発性長針状晶.液体は淡黄色,気体は青緑色.融点340 ℃(封管中),昇華点315 ℃.密度3.95 g cm-3.二酸化硫黄水溶液,アンモニア,ヒドラジンによって還元されてセレンを遊離し,桃色になる.吸湿性で水に易溶.水に溶けて亜セレン酸になる.アセトン,ベンゼンにも可溶.純硫酸にも鮮緑色になって溶ける.セレン化合物や高純度セレンの製造原料,有機合成の酸化剤や触媒などに用いられる.皮膚や眼をおかす.有毒.[CAS 7446-08-4]【Ⅱ】酸化セレン(Ⅵ):SeO3(126.96).三酸化セレンともいう.530 Pa(4 Torr)の酸素中でセレンをグロー放電するか,セレン酸H2SeO4を150~160 ℃ でP2O5により脱水して得られる.白色,吸湿性の結晶.融点118 ℃.185 ℃ で二酸化セレンと酸素に分解する.強い酸化力があるため,反応しやすい溶媒とはすべて爆発的に反応する傾向がある.水とは容易に反応してセレン酸になる.化学薬品として用いられる.有毒.[CAS 13768-86-0]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報