結合間隔(読み)けつごうかんかく(その他表記)bond length

改訂新版 世界大百科事典 「結合間隔」の意味・わかりやすい解説

結合間隔 (けつごうかんかく)
bond length

化学結合の長さ,すなわち化学結合で結ばれた二つ原子原子核間の距離。原子間距離または核間距離ともいう。結合角とともに分子の立体構造や電子状態を検討するうえで重要な量である。分子の振動回転スペクトルの解析,X線および電子線回折などの実験により精密に測定されている。分子内では原子核はつねに振動しているので,厳密にはどのような状態での結合間隔かが問題になることがある。通常,ポテンシャル曲線の極小に対応する間隔(平衡核間距離),ゼロ点振動の振幅補正をした間隔,いくつかの振動準位に分布した状態の平均的な間隔などを区別する。これらは互いに1pm(=0.01Å)程度の違いを生じる。このような厳密な問題ではないが,結合間隔は特別な事情がないかぎり多くの化合物で結合に関与する原子の種類,結合の様式のみでほぼ決まり,分子の他の部分からあまり影響を受けないことが知られている。たとえば炭素原子間の単結合の結合間隔は多くの有機化合物で154pmであり,二重結合では134pmである。特別な事情,たとえば量子力学的共鳴が考えられる場合には共鳴の度合に応じて中間的な値をとる。二つのケクレ構造の共鳴が主要な寄与をするベンゼンでは炭素原子間の距離は140pmになっている。原子やイオンを球とみなすことにすれば,結合間隔のこのような規則性から各原子やイオンの結合半径を決めることができ,構造解析がまだ行われていない分子の形状を推定するのに使用される。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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