…安治川河口では,オランダ製のバケット式浚渫機2台を使用して,浅くなった河口の浚渫が行われ,これを契機として,日本の主要な河川,河口でも浚渫工事が実施されるようになり,洪水防御,舟運に役だった。このような工事を河川では低水工事といい,96年の河川法制定以来,高水工事に方針が変わるまで河川では浚渫はたいせつな工事であった。大正期以降は船の大型化に伴う泊地や航路の水深の増加の必要と,臨海工業用地造成の大量の土砂の供給を行うため,ポンプ式の浚渫船が多く用いられるようになった。…
…【古島 敏雄】
[近代日本の治水技術]
明治維新以後,日本政府は河川技術面でも西欧技術を積極的に導入し,活発に河川工事を始めた。明治初期には主としてオランダ技術者の指導を受け,舟運や灌漑用水の取水のために,低水時における流路を整え,流水幅を制限して水深を増す低水工事に重点が置かれたが,やがて大水害の頻発と河川行政の整備とともに,洪水防御を目的とした高水工事に力が注がれるようになった。その契機となったのは,1896年制定の河川法であり,これによって主要河川に対する大規模治水事業が推進された。…
※「低水工事」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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