住宅建材などから出る化学物質が原因で身体の不調が起きるシックハウス症候群(シックビル症候群〈sick building syndrome〉からの派生語)を予防するため、2002年7月、建築基準法が改正された。これにより、汚染源である2種類の化学物質の使用が禁止または制限されることとなった。シロアリ駆除剤として使われるクロルピリホスは使用禁止となり、合板や壁紙の接着剤などから出るホルムアルデヒドは一定面積以上の使用が制限される。また、住宅への換気装置の設置も義務付けられた。国土交通省は、トルエンやキシレンについても室内汚染源として規制を検討すべきだとしている。一方、民間のハウジングメーカーや部材メーカーも、健康を考慮した住宅や部材の販売に力を入れ始めており、健康住宅研究会による「設計・施工ガイドライン」もできるなど、業界の対応も着実に進んでいる。また、化学物質の表示が住宅品質確保促進法の項目に加えられた。しかし、様々な化学物質の有害性の程度がすべて明確にされているわけではなく、この点も含めての基礎研究の成果が待たれている。