元山大争議(読み)げんざんだいそうぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「元山大争議」の意味・わかりやすい解説

元山大争議
げんざんだいそうぎ

朝鮮北部、元山(げんざん/ウォンサン)市近郊、文坪(ぶんひょう)のライジング・サン石油会社のストライキに端を発し、1929年(昭和4)1月23日から4月8日まで、参加人員2000余人、スト資金3万余円をもって闘われた、日本植民地下朝鮮労働運動史上最大のゼネスト。ライジング・サンでは前年から最低賃金制などをめぐって争議中であったが、交渉にあたっていた元山労働組合連合会は、1月14日に、スト突入と傘下労働組合の支援とを指示した。このなかでライジング・サンの物資運搬を拒否した支援の運輸労働者が解雇されたため、ストライキの波は広がり、また資本家側の調停依頼を受けた元山商業会議所の元山労連への対決姿勢もあって、23日よりゼネストに突入した。元山労連は、労働者、農民、学生はもとより、一部の朝鮮人ブルジョアジー、国外の朝鮮人、および日本人労働者の支援を受け、青年団や在郷軍人会をも動員した弾圧や分裂策動に抗して闘った。しかし、長期化による資金の欠乏、生活の逼迫(ひっぱく)により、元山労連はついに無条件復業命令を出し、労連は解体、労働者側の敗北に終わった。

[大和和明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例