改訂新版 世界大百科事典 「光梃子」の意味・わかりやすい解説
光梃子 (ひかりてこ)
optical lever
微小角測定に使われる装置。図に示すように鏡の方向がA(rad)変わると反射光の方向は2A変わり,鏡から距離Lの位置では光点は2AL移動する。Lを大きくするとAが小さくても2ALは測定容易な大きさにでき,簡単な装置で高い感度が得られる。19世紀末から20世紀初めにかけて,トーションバランスによる万有引力定数の決定や,検流計のコイルのブラウン運動の発見など古典物理学の重要な実験に使われた。今日でも検流計や記録計に応用されているほか,2ALを高精度で測定する方法が考案され,L=100mm程度の装置で秒から1万分の1秒の角度測定が行われている。また長さ変化を角度変化に変換し,1μm~0.1nmの微小な長さ変化の測定にも使われている。
執筆者:中山 貫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報