入来文書(読み)いりきもんじょ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「入来文書」の意味・わかりやすい解説

入来文書
いりきもんじょ

薩摩国入来院の諸家 (入来院家,岡元家,寺尾家,庶流入来院家,田中家) に伝来した文書総称で,うち最大のものは入来院家文書。入来院家は,元相模国御家人渋谷氏で,鎌倉時代中期に同地に下向し,以来,薩摩国で島津家に次ぐ大族となった。これらの文書の大部分はすでに『薩藩旧記雑録』に収載されていたが,広い年代にわたり,かつ内容が豊富なことから,1925年エール大学教授朝河貫一が日欧封建制比較研究の基礎史料として英訳付で刊行,国際的に注目を浴びた。編者没後の 55年増補されて再刊,さらに 67年新訂本が出た。なお原本は,近年ほとんど東京大学史料編纂所や鹿児島大学図書館などに移った。

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世界大百科事典(旧版)内の入来文書の言及

【朝河貫一】より

…その後,同大学で日本史,ヨーロッパ中世史を講義し,76歳でワーズボロに没した。およそ50年におよぶ滞米中の学術研鑽において朝河の名を不朽にしたのは,比較法制史の分野に大きな貢献をなした《The Documents of Iriki》(入来文書)の翻訳,研究であった。これは1917年(大正6)より2年間の日本留学のおり,現地での文書採訪を基礎に29年英米で刊行されたものである。…

※「入来文書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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