内分泌臓器としての脂肪組織

内科学 第10版 の解説

内分泌臓器としての脂肪組織(脂肪由来ホルモンと疾患)

(1)内分泌臓器としての脂肪組織
 従来,脂肪組織は,余剰エネルギーを中性脂肪として貯蔵する単なるエネルギー貯蔵臓器と考えられていたが,近年,アディポサイトカインあるいはアディポカインと総称される生理活性物質を活発に産生・分泌する生体内で最大の内分泌臓器として多彩な生命現象に関与することが明らかになってきた(Matsuzawaら,1999)(図12-14-1).大部分のアディポサイトカインはペプチド・蛋白ホルモンであるが,最近では,遊離脂肪酸もアディポサイトカインととらえられている(脂質アディポサイトカイン).血中に存在する遊離脂肪酸の多くは,脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪が分解されて生成する.遊離脂肪酸は,血中を介して遠隔臓器に作用し,エネルギー供給源となるのみならず,細胞表面や核内の受容体を介して細胞内にシグナルを伝えている.[小川佳宏・菅波孝祥]
■文献
Friedman JM, Halaas JL: Leptin and the regulation of body weight in mammals. Nature, 395: 763-770, 1998.
Matsuzawa Y, Funahashi T, et al: Molecular mechanism of metabolic syndrome X: contribution of adipocytokines, adipocyte-derived bioactive substances. Ann NY Acad Sci, 892: 146-154, 1999.
Suganami T, Ogawa Y: Adipose tissue macrophages: their role in adipose tissue remodeling. J Leukoc Biol, 88: 33-39, 2010.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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