最新 地学事典 「分子拡散」の解説
ぶんしかくさん
分子拡散
molecular diffusion
溶液や混合気体中の成分濃度が不均一な場合,熱運動などによる分子としての拡散により均一化していく現象。拡散過程を溶媒中の分子の運動として扱えば,拡散係数は,拡散分子の有効な大きさと媒体の粘性率に関係づけられる。拡散速度が大きくなると摩擦力は大きくなり,ある速度で釣り合う。拡散力は溶質1分子当りの自由エネルギー変化で,摩擦力はストークスの法則で,それぞれ記述されるので,釣り合う条件から,-RT/(NAC)・(dC/dx)=6πrηdx/dtが得られる。ここで,Rは気体定数,Tは絶対温度,NAはアボガドロ数,Cは濃度,rは分子半径,ηは粘性率である。この式とフィックの第一法則から,拡散係数Dは,D=RT/(6πrNAη)であることがわかる。地下水中の物質移動を考える場合,流速が小さいときには,この現象が分散に及ぼす影響が大きい。ふつうは力学的分散に比べて小さい。
執筆者:吉田 尚弘・藤崎 克博
参照項目:力学的分散
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

