拡散(読み)カクサン(その他表記)diffusion

翻訳|diffusion

デジタル大辞泉 「拡散」の意味・読み・例文・類語

かく‐さん〔クワク‐〕【拡散】

[名](スル)
広がり、散らばること。「核の拡散を防止する」
混合流体が高い濃度から低い濃度の所へと移動して、一様な濃度になる現象。分子熱運動によって起こる。
SNSなどのソーシャルメディアにおいて、投稿されたメッセージを多くの人に引用してもらうこと。メッセージの引用は個々人によって行われるが、しばしばねずみ算式に引用数が増え、多くの人の元にメッセージが届くことがある。「以下のメッセージを拡散希望」
[類語]分散散る散ずる散らばる散らかる散らかす散らす四散散開飛び散る飛散飛ぶ雲散離散霧散散逸雲散霧消集散離合結集集合集結糾合集中凝集密集蝟集いしゅう群集集積

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精選版 日本国語大辞典 「拡散」の意味・読み・例文・類語

かく‐さんクヮク‥【拡散】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 広がって散ること。広く散らかすこと。
    1. [初出の実例]「真の真実性の一端も、持続した精神の働きかけが停止すると共に一片の断片として拡散し」(出典:フィクションについて(1948)〈佐々木基一〉)
  3. 一定空間内の気体の濃度分布が一様でない時、気体分子が、高濃度の領域から低濃度の領域に時間とともに移動し、全体的に均一となって濃度差がなくなる現象。液体や固体にもみられる。〔稿本化学語彙(1900)〕
  4. 動物の発生初期に起こる形態形成運動で、細胞層が表面積を増し、胚(はい)、細胞塊、卵黄などを包み込んでいく運動。

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改訂新版 世界大百科事典 「拡散」の意味・わかりやすい解説

拡散 (かくさん)
diffusion

水の中にインキを一滴そっと入れると,いろいろ模様を描きながら沈んでいくが,その際,色のついた部分がゆっくり周囲に広がって薄くなっていくのが見られる。濃い部分が作る模様はインキと水のわずかな比重の差による流れが作り出すものであるが,ゆっくり周囲に広がる現象は拡散である。煙突やたき火の煙が風のない日でも,もくもく上がったりたなびいたりするのは,対流などによるためで,もしまったく静止した空気の中に同じ温度の煙をそっと置くことができたら,煙は非常にゆっくり周囲に散っていく。これが拡散現象で,例えば,風のない晩秋の夕べに煙が町一帯にもやのように立ちこめてしまうことがあるが,やがて時が経つにつれ,いつしか消え去ってしまう。酸素ボンベの栓を開くと,たとえボンベの圧力が外の空気の圧力と同じであっても,やがて中の酸素が外の空気と混ざり合って,ボンベの中も外も窒素対酸素の濃度比がいたるところ一様になってしまう。これも拡散であるが,このように異なる物質(この場合は酸素と窒素)どうしが互いになるべく同じ濃度比になるように混ざり合っていく現象を相互拡散という。一方,圧力の異なる二つの酸素ボンベ(一方は真空でもよい)を結びつけると,両者の密度が同じになるように,圧力の高いほうから低いほうへ酸素ガスが流れ込んでくる。これも拡散現象であり,このように同種類の物質における拡散を自己拡散と呼ぶ。茶わんに熱い茶をいれると,しだいに外側まで熱くなってくるが,これは固体内での熱エネルギーの拡散現象で,熱拡散と呼ばれている。ただしストーブで部屋が暖まるのは対流によるもので,空気中における熱拡散はきわめて緩慢である。

一口に拡散というと非常に意味が広がってしまうが,物理学などでいう拡散は,多くの場合,そのマクロな動きが拡散方程式によって記述されるような現象を指している。この拡散方程式は,フィックの方程式とも呼ばれ,次の二つの法則を組み合わせたものである。一つはフィックの第1法則と呼ばれるもので,密度ρの拡散を例にとると,この密度を構成している粒子の流れJ(流れの方向に垂直な単位面積を単位時間当りに通過する粒子数)がρのこう配に比例し,またこのこう配とは逆向きになっているというもので,J=-D gradρで表される。この比例係数D拡散係数という。これは近似的な法則で,ρのこう配があまりきつくなると成立しなくなる。もう一つは粒子数の保存則で,それは任意の位置において,ρの時間変化の割合と,Jのこう配とを結びつける連続の式と呼ばれる方程式,∂ρ/∂t=-div Jで表される(tは時間)。これは厳密に成り立つ。以上二つの法則はρに対する一つの線形偏微分方程式にまとめられ,∂ρ/∂tD(∂2/∂x2+∂2/∂y2+∂2/∂z2)ρ≡D2ρと表せる。これがフィックの方程式である。ρ,Jをそれぞれエネルギー密度とエネルギーの流れに置き換えれば,フィックの方程式は熱エネルギーの拡散方程式になる。エネルギー密度の時間的および空間的変化率は,それぞれ温度Tの時間的および空間的変化率に比熱を乗じたものに等しいので,フィックの方程式はTに対する線形偏微分方程式 ∂T/∂tDe2Tになる。一般に熱伝導の方程式と呼ばれているものはこれである。熱伝導率はエネルギーの流れとTのこう配の間の比例係数であるから,熱エネルギーの拡散係数Deに比熱を乗じたものになる。
熱伝導

フィックの第1法則は非可逆的である。すなわち,ある拡散の過程があったとき,その時間の向きを逆にしたような過程は存在しえないことを主張する。実際,きれいな湖の中にひとりでにインキの固まりが現れたり,海や空気の中に自然発生的にエネルギーが凝集し,北洋の海水の一部が沸騰し始めたり,都会の中にひとりでに窒素ばかりの酸欠空気が現れたりといった拡散の逆現象はありえない。拡散は自然界が与えられた条件のもとでは,可能な限り大きなエントロピーを獲得しようとしている姿の現れであり,必ずエントロピー生成を伴うものである。このような非平衡系でも,空間の各点の近傍では,熱平衡が成立しているという前提のうえにフィックの法則は成り立っている。この前提を局所平衡という。場所によって異なる温度というとき,この仮定が暗黙のうちに使われている。

 以上の視点で,拡散を非可逆過程の熱力学の枠組みに組み込むことができる。密度のこう配は非可逆的な流れを引き起こそうとする熱力学的力であり,フィックの第1法則は流れがこの力に比例するというのであるから線形法則である。したがって拡散方程式は線形非可逆過程の方程式の一つである。線形非可逆過程の枠組みの中にいる以上,化学ポテンシャルの異なる二つの粒子の間にはさまれた系の拡散流とか,温度の異なる二つの熱源の間にはさまれた系の熱流では,どんな初期条件から出発しても行き着くところは定常状態である。

 拡散方程式が多くの人々の注目を集めるようになったのは,熱伝導の方程式の非定常解をJ.B.J.フーリエが論じてからであるといえよう。これはまたフーリエ級数の初登場でもあった。しかしそこではまだ非可逆過程の熱力学という奥行きは感じられていなかった。

拡散方程式の分子論的基礎は,二つのまったく異なるアプローチから与えられた。一つは熱平衡状態にある液体の中に浮遊しているコロイド粒子微粒子)の拡散である。このときコロイド粒子には常時たくさんの分子があらゆる方向からぶつかっている。その結果,コロイド粒子の受ける力は,どの瞬間においても,平均化されてしまってほぼゼロではあるが,粒子が小さいため完全にゼロとはみなしえない。この消え残った力は絶えずゆらいでいる。これによりコロイド粒子のブラウン運動が見られるのであるが,この運動は決定論によっては決められず,確率法則に支配されている。ここで,ある位置から出発したコロイド粒子が,時間が経つにつれ,空間の中でどんな確率分布をとっていくかを記述するのがスモルコフスキー方程式である。この方程式から出発して,確率分布の変化が時間的にも空間的にもゆっくりで,はなはだしい飛躍はないとすると,確率分布が拡散方程式に従うことが示される。したがって平衡状態にある液体の中を浮遊している多数のコロイド粒子の密度も,拡散方程式に従うことになる。コロイド粒子に電荷があって,これに外から電場をかけて外力Fを与えると,粒子は平均の速度vをもつようになるが,他方,粒子が液体分子から受ける力は,ゆらぎの部分を平均してならしてしまっても,ゼロでなくなって,それはvと逆向きの抵抗の力になる。この抵抗のため,vは外力Fに比例した一定値に落ち着く(vbF)。この比例係数b移動度という。アインシュタインはこの移動度bと拡散係数Dの間にはDkTbという関係が存在することを見いだした。ここにkボルツマン定数で,Tは絶対温度である。これはアインシュタインの関係式と呼ばれ,相対論や光電効果の発見と並び重要な発見である。なぜなら,これは,すべての動きが止まっているかに見える熱平衡状態において,激しい分子運動があるというボルツマンの主張を,間接的にではあるが,Dbという実測可能な量によって実証するものとなったからである。

 拡散の分子論のもう一つのアプローチは,気体や液体の分子運動論から,分子の密度やエネルギー密度の拡散方程式を導くというものである。分子は大部分の時間を等速直線運動をし,互いにぶつかり合うときにだけ撃力を及ぼし合っているとして,衝突は確率の法則に従っていると仮定する。これを分子の位置と運動量の確率分布が従う方程式に表したものがボルツマン方程式である。ここで確率分布の時間的空間的変化が緩やかであるとし,局所平衡に近い分布をしていると仮定すると,粒子密度やエネルギー密度が拡散方程式に従うことが証明され,拡散係数を粒子の質量,密度,衝突の強さなどの関数として求めることができる。このアプローチによる拡散のミクロ理論は,ブラウン運動のアインシュタイン理論(1905)よりかなり遅れて,粘性などの輸送係数のミクロ理論とともに発達したのである。

 粒子がまっすぐ衝突なしに突き進んでしまったら,拡散方程式に従う現象など期待できない。衝突のため粒子は平均自由行路といわれる距離ぐらいしか直進できない。その結果,ある位置から出発した粒子は時間の経過とともに出発点からどれくらい離れるかというと,時間tに比例しては離れられず,せいぜい\(\sqrt{t}\)に比例した距離程度である。この事情はブラウン運動のときと同じで,これが拡散現象の根源なのである。

 固体の熱伝導は,フォノンに対するボルツマン方程式から上と同様にして導かれるが,種々の難問がある。このほか,磁性体の無秩序相におけるスピンの拡散や,伝導電子のスピンの拡散も,マクロにはフィックの拡散方程式で記述される。固体の中を原子やイオンや格子欠陥が移動していくようすは,一歩一歩が確率過程であり,ブラウン運動に似ているので,これらは拡散現象を呈する。金属中に蓄えられた水素や,氷における水素の遍歴運動もこうした拡散現象の一例であるが,一歩ごとの遍歴運動が量子論のトンネル効果によるので量子拡散の現象といわれることがある。なお,絶対0度ではフィック型の拡散現象はきれいな系では存在しえない。それは,平均自由行路が無限に長くなったり,遍歴運動が凍りついてしまうからである。
ブラウン運動
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岩石学辞典 「拡散」の解説

拡散

岩石を構成する鉱物結晶の内部では,各原子は温度などの外的条件によって振動しており,常に微小な距離を移動する確率をもっている.外部から化学成分の濃度勾配や応力歪などの力が加わり,さらに温度の上昇や格子欠陥などの要因が加わると原子は移動しやすくなる.一様な温度の静止混合流体中の濃度が均一でないときには,濃度を一様分布に近づける変化が起こる.また温度の分布が一様でなければ熱拡散(thermal diffusion)が起こる.一般に物質が移動する場合の駆動力は,各場所における成分の化学ポテンシャルの勾配で,この結果物質が移動する現象が拡散(diffusion)である.拡散現象は気体,液体または固体の媒質の中で,原子,イオン,分子の群が移動することで,一つの物質の他の物質による透過作用で,気体を通じた気体の移動,液体を通じた液体の移動,固体を通じた固体の移動などが起こる.拡散現象には成分濃度の変化が時間によらない定常状態の場合と,濃度が時間と共に変化する非定常状態の場合があり,岩石学ではどちらの例も認められる.定常状態の拡散はフィック(Fick)の第一法則で表され,一次元の場合には,
 J=-D・∂C/∂x
として表される.ここでDは拡散係数(diffusion constant)である.非定常状態の場合は濃度の時間的変化が勾配の場所による変化に比例してフィックの第二法則で表される.一次元の場合は
 ∂C/∂t=-D(∂2C/∂x2
として表される.この式で拡散係数が濃度に関係しない場合には次のように表される.
 DD0・exp{─Q/(RT)}
ここで,R:気体定数,T:絶対温度,Q:活性化エネルギーである.定数D0は温度に依存しない.拡散速度は温度に指数関数的に依存し,温度が高くなると大きくなる.低温の場合と高温の場合の拡散速度の差は著しい.岩石が形成される際には物質が移動し拡散現象に影響を受けるので,岩石学では形成の際の温度が非常に関係し,その結果が岩石の組成や構造に表れていると考えられる[鈴木 : 1994].拡散は異種の粒子の混合系が熱平衡状態に近づく際におこる濃度分布の変化の過程である.岩石では,媒体が移動せずにその中の成分が移動する現象には,媒体が固体の場合と流体の場合がある.岩石が流体を含む場合には,流体内部の成分の移動に比べて流体自体の移動速度が相対的に速いことが予想される場合は,流体内部での成分の移動は無視できる.しかし媒体が固体の場合には,成分が固体媒体の内部を移動するため拡散現象が主要な役割を果たすことになる[鈴木 : 1994,Liesegang : 1913, Ostrand & Dewey : 1915].
岩石のような多結晶の集合体の中で拡散が行われる場合には,拡散の行われる結晶の場所によって成分の移動結果はかなり異なる.一般に結晶内部では結晶格子を置換しながら原子が移動する格子拡散(lattice diffusion)が行われる.格子拡散でも結晶中に欠陥が存在すると速くなる.一方結晶表面では表面エネルギーのために物質は移動しやすく表面拡散(surface diffusion)が行われる.また結晶粒の間の界面では表面とは異なる粒界拡散(grain boundary diffusion)が行われる.
一般に表面拡散の活性化エネルギーは粒界拡散や格子拡散に比べて小さく,格子拡散の活性化エネルギーが最も大きいのが普通である.岩石の中では空隙はあるものの自由な表面はあまり存在しないので表面拡散の寄与はあまり大きくないであろう.しかし地下の空間には一般に多少の流体が存在するので,流体を媒体とした物質の移動との比較を考えなければならない.
粒界拡散は多結晶粒界を移動する拡散で,単結晶に比して多結晶粒界の原子配列の乱れが著しいために起こる現象である.結晶格子の乱れの二次元的広がりが粒界であり,多結晶の粒界拡散は一般に結晶内部の格子拡散よりも著しい.多結晶体では拡散は粒界に沿って速やかに進行し,次いで結晶格子内への内部拡散が起こる.岩石のような鉱物粒の集合体では,粒界拡散の寄与が固体拡散の中で最も大きいものと考えられる[鈴木 : 1994].

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「拡散」の意味・わかりやすい解説

拡散
かくさん
diffusion

ある濃度の物質が空間的に広がって、移動可能な範囲の空間の中で均一の濃度に近づく現象をいう。広大な大気や海水の組成が、どこをとってもほぼ一定のものであるのは、拡散によって各成分が一様に混合した結果である。

 物質のこのような運動は分子のブラウン運動に起因する。したがって、温度が上昇すると分子運動の速度が増加するから、拡散は速くなる(熱拡散という)。また分子の運動する速度は分子量の平方根に反比例する(グレアムの法則)から、拡散の速度もやはり分子量の平方根に反比例することとなる。ウランなどの同位体分離に熱拡散法が応用されたのも、この原理に基づいたものである。気体の拡散を妨げる因子は分子間の衝突であるから、分子の平均自由行程を大きくすると(つまり圧力、密度を下げるほど)拡散は容易となる。拡散は気体や液体のような流体のみの現象ではなく、固体においてもおこる。しかし検出するには長時間を必要とする。金と鉛の板を重ねて放置すると、5年間で1センチメートルも拡散がおこるといわれる。

 以上は、異種の物質を混合した場合だけでなく、同一物質中でも拡散はおこる。これは自己拡散とよばれるが、放射性同位体の利用によって初めて検出、研究が可能となった。現在ではこのほかに、核磁気共鳴スペクトル法も利用できる。

 拡散の解析にはフィックの法則(第一、第二法則)が基礎的なものであり、濃度勾配(こうばい)の時間依存性によってそれぞれ使い分けることとなる。

[山崎 昶]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「拡散」の意味・わかりやすい解説

拡散
かくさん
diffusion

(1) 水の入った試験管の底へ毛管を通じて静かに少量の赤インキを入れると,長時間ののちに全体が一様な薄赤い水となる。このように異種の物質の混合系が不均一な濃度分布をもつとき,一様な分布に近づこうとする現象を拡散または分子拡散という。拡散は気体,液体だけでなく,固体の中でも起る。浸透は隔膜を通じて起る拡散である。固体中での拡散は不純物半導体の製造に応用されている。温度分布が不均一ならば熱拡散が起る。これらは物質を構成する微粒子の熱運動によるもので,分子運動論によって輸送現象として解明されている。これに対し,風によって煙が広がるのは,流体の流れが乱れて生じた渦の攪拌作用であって渦拡散と呼ばれ,流速が大きくなるほど著しい。大気中の拡散は大気汚染に関連して研究されているが,大気の成層状況や温度勾配の影響など未解決の点が多い。 (2) 中性子が媒質中で散乱を受け,中性子密度の高いところから低いところへ動いていく現象を中性子の拡散という。

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百科事典マイペディア 「拡散」の意味・わかりやすい解説

拡散【かくさん】

物質の濃度が場所によって異なるとき,これを放置すると物質の移動が起こって全領域にわたって濃度が均一になる現象。静止した水の中にインキを数滴落とすとインキは次第に広がっていき,ついには水全体が一様に青くなるのはこの一例。これは構成粒子が熱運動をしていることによって起こる現象である。拡散が隔壁を通して行われる場合は浸透という。拡散速度は気体の場合に最も大で,液体,固体と減少し,また濃度の差が大きいほど速い。→グレアムの法則
→関連項目輸送現象

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化学辞典 第2版 「拡散」の解説

拡散
カクサン
diffusion

不均一な濃度で存在する物質が,分子の熱運動によりできるだけ利用できる広い空間に広がろうとして移動する現象.また,1個の分子や微粒子に注目して,それらが熱運動により位置をかえることも拡散という.また,はじめに一定の方向を向いていた分子や微粒子が,時間とともにはじめの方向性を失う現象を回転拡散という.異種気体の混合物における相互拡散,溶液中での溶質の拡散,高温における一つの固体へのほかの固体物質の拡散,気体または液体中での微粒子の拡散,多孔質固体中での気体の拡散など,自然界に広くみられる現象で,またウランの同位体分離など応用的にも重要である.[別用語参照]熱拡散

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栄養・生化学辞典 「拡散」の解説

拡散

 濃度分布の不均一な系で,非平衡状態から平衡状態すなわち均一な濃度分布になるように溶質が移動すること.熱についてもいう場合がある.

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普及版 字通 「拡散」の読み・字形・画数・意味

【拡散】かくさん

ちらばる。

字通「拡」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の拡散の言及

【呼吸機能】より

…呼吸機能が十分かどうかは,最終的には生体が必要とする量の,正常組成の動脈血を供給できるかどうかで判断する。 酸素が外界から体の動脈内に到達するまでには,肺胞に新鮮な空気を取り込み,それが酸素が少なくて二酸化炭素の多い肺胞内のガスと入れかわり(換気),酸素が肺胞から肺胞毛細血管膜(呼吸膜)を通って肺毛細血管内に移行し(拡散),肺毛細血管内の血液が集まり(肺循環),左心室を介して全身に送られる過程を経る。二酸化炭素については,右心室を介して肺毛細血管に静脈血が送られ,そのあとは酸素と逆のルートで外界に送り出される。…

【伝播】より

…文化人類学の用語。二つの文化が直接あるいは間接に接触した場合,一方の文化から他方の文化へ,文化要素の移行・受容が行われる現象をさす。この意味において伝播は人類に普遍的であり,また人類の歴史のすべての段階に存在し,これによって,最初局地的に知られているだけだった創造的努力の成果が広まり,また再発明の手間を省くことによって文化の発展を促進してきた。既存のある文化体系に新しい文化要素がつけ加わるのには,その文化体系内部での発明と,他文化からの伝播とがあるが,ともに同様な過程をたどる。…

※「拡散」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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