外力の作用がないとき,ある空間中の物質量の時間変化は,その空間表面での濃度勾配に比例して移動する物質量に等しく,この比例定数を拡散係数Dという.すなわち,
ここに,cは物質濃度,(grad)n は表面に垂直方向の勾配,dV,dSは体積,面積要素である.拡散係数の単位はストーク(St).
1 St = 10-4 m2 s-1 = 1 cm2 s-1.
もっとも簡単な例として,1種類の気体中での自己拡散の拡散係数は気体運動論により
D = (1/3)
で与えられる.は分子の平均速度,lは平均自由行程である.また,粘度ηの液体中における半径rの微粒子の拡散係数は,気体運動論とストークスの法則により
D = RT/(6πηrNA)
で与えられる.ここで,Rは気体定数,Tは絶対温度,NA はアボガドロ定数である.(1)式にガウスの定理を用いて右辺の面積積分を体積積分に移し,この関係がいかなる空間についても成立するものとすると,次の拡散方程式が得られる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…一つはフィックの第1法則と呼ばれるもので,密度ρの拡散を例にとると,この密度を構成している粒子の流れJ(流れの方向に垂直な単位面積を単位時間当りに通過する粒子数)がρのこう配に比例し,またこのこう配とは逆向きになっているというもので,J=-Dgradρで表される。この比例係数Dを拡散係数という。これは近似的な法則で,ρのこう配があまりきつくなると成立しなくなる。…
※「拡散係数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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