改訂新版 世界大百科事典 「分枝酵素」の意味・わかりやすい解説
分枝酵素 (ぶんしこうそ)
branching enzyme
炭水化物の形成に関与する酵素。グリコーゲンやアミロペクチン合成に際して,分枝構造形成反応を触媒する。糖鎖の伸長末端を含む数残基を,α-1,4結合で切断し,残りの糖鎖の途中にα-1,6結合させる(図参照)。グリコーゲンの場合では,分枝により溶解度が高まり,伸長しうる末端数が増加する。反応は不可逆的。生物界に広く存在し,反応の性質が異なるので,Q酵素Q-enzyme(植物),分枝因子branching factor(動物),アミロ(1,4→1,6)トランスグリコシダーゼなどと呼ばれる。
執筆者:柳田 充弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報