切回(読み)きりまわす

精選版 日本国語大辞典 「切回」の意味・読み・例文・類語

きり‐まわ・す ‥まはす【切回】

〘他サ五(四)〙
① 物のまわりを切る。
平家(13C前)一「十四五六の童部を三百人揃へて、髪を禿(かぶろ)にきりまはし」
② あちらこちらを切る。また、手当たり次第に切る。むやみと切る。
徒然草(1331頃)一八四「すすけたる明り障子の破ればかりを、禅尼手づから、小刀してきりまはしつつ張られければ」
中心となって事を処理する。また、巧みにやりくりする。
※二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉上「老婦(ばあさん)よりは宜しいに相違ございませんけれど。どうも此家経済を切廻(キリマハ)さうといふには」
奉公人遊女などの契約期間を延長する。年季を延ばす。切り増す。
御代恩沢(1790)二「間夫が為に今また三年を切廻(キリマハ)し過すとも」

きり‐まわ・る ‥まはる【切回】

〘他ラ五(四)〙
① 物を切りながらそのまわりを回る。また、物のまわりを切る。
② あちこち切って歩く。また、手当たり次第に切る。
※徒然草(1331頃)八七「『我こそ山だちよ』と言ひて、走りかかりつつきりまはりけるを」

きり‐まわし ‥まはし【切回】

〘名〙 中心となって事を処理すること。また、やりくりすること。きりもり。
小公子(1890‐92)〈若松賤子訳〉一一「だがね、今切(キ)り廻(マハ)しをしてるなあ、この女ぢゃないんですぜ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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