…《蒙古襲来絵詞》には,足半を履く武士の姿が描かれており,新しい戦法で押しよせた蒙古軍との戦いに,すべりやすい合戦場で威力を発揮したものと思われる。当時は半物草(はんものぐさ)といった。室町時代の《今川大双紙》(応永年間刊)には〈足なが〉の文字が初見されるが,当時はもっぱら武士が軍陣や戦場で履いた。…
…わらなどで編んだ台に鼻緒をすげたはきもの。わらは弾力があって編みやすく,保温力もあり軽いので多く使われたが,山村部や畑作地帯ではわらが乏しかったので,ミョウガ,フジ(藤)づる,ハマスゲ,ガマ(蒲),竹皮,トウモロコシの皮,道芝,布切れなども使われ,沖縄などではアダン,ビロウ,ビンロウ(檳榔)樹の葉がもっぱら用いられた。中国古代ではわらや草でつくったはきものを〈草履〉と記しているが,形はくつであり,わらぐつ(草鞋)として日本に伝わった。…
※「半物草」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」