半瓦当(読み)はんがとう(英語表記)ban wa-dan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「半瓦当」の意味・わかりやすい解説

半瓦当
はんがとう
ban wa-dan

中国,戦国時代に使用された半円形瓦当をつけた軒先瓦。戦国時代の半瓦当として知られるものは,燕,斉,魯,薛,趙の5ヵ国にわたり,最も古い形式と考えられるものは燕の半瓦当で,燕から各国に波及したものと考えられる。燕の半瓦当には饕餮文 (とうてつもん) ,凸字様文,雙獣文を施したものがあり,また,斉のものには樹木人物,馬,蕨手状樹木を表現したものが多い。漢代にも蕨手文や朱雀などを描いた半瓦当があるが,円形の瓦当が一般化する。

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世界大百科事典(旧版)内の半瓦当の言及

【瓦当】より

…陝西省鳳翔県の秦都雍城で発見された瓦当はこの時期に属する。それは瓦当を丸瓦部にそろえて半円形にする半瓦当であり,文様をまったく欠くものと,瓦当を3区の円弧に分け,縄蓆文と磨消部分とに分ける簡単な装飾をほどこしたものとがある。 半瓦当は,秦のみならず戦国時代の各地の名城で発見され,饕餮(とうてつ)文・動物文・蕨手(わらびで)文を主とする幾何学文などで美しく飾られ,前漢時代初期まで存続している。…

【瓦】より

…円形瓦当は,秦・漢時代から行われるようになったと考えられる。秦始皇帝陵内の建物遺構から円形瓦当が,前漢時代の天津西漢墓から半瓦当が出土しており,このころがちょうど半瓦当から円瓦当への過渡期であったと推定される。瓦当面に飾られる文様は,半瓦当では饕餮(とうてつ)文,動物文,樹木文などが主体であり,秦・漢円形瓦当では瓦当面を4等分して吉祥の文字を飾ったり,蕨手(わらびて)文を飾ったりする。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」