単純性疱疹(読み)たんじゅんせいほうしん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「単純性疱疹」の意味・わかりやすい解説

単純性疱疹
たんじゅんせいほうしん

単純性疱疹ウイルスによっておこる皮膚病で、飛沫(ひまつ)感染、接触感染のほか性的行為によって伝染する。免疫のない人、ことに小児が感染すると、初感染病変としてヘルペス性歯肉口内炎、角膜炎、外陰腟炎(ちつえん)、疱疹性湿疹などを生ずる。初感染病変は高熱を伴って、歯肉や口腔(こうくう)粘膜、外陰部の皮膚や粘膜、眼球結膜、湿疹のある皮膚面などの広範囲にわたってエンドウ豆大の水疱が多発し、灼熱(しゃくねつ)感や痛みが強く、リンパ節が腫(は)れて痛む。普通みられるのは再発性病変で、初感染を経過したり不顕性感染によってすでに免疫のある人に生じ、アワ粒大の小水疱が集まってでき、灼熱感や痛みを伴うが数日で治癒する。口唇や陰部に多く、それぞれ口唇疱疹(口唇ヘルペス)、陰部疱疹とよばれ、過労感冒、発熱時や紫外線によって再発することが多い。局所には殺菌剤、抗生物質軟膏(なんこう)、IDU(イドクスウリジン)眼軟膏、IDU点眼液を用いるが、初発病変では安静にするとともに、輸液、γ‐グロブリンの注射を必要とし、抗ウイルス剤として新薬アシクロビル、アラビノシッドなどが用いられる。

[野波英一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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