反復刺激誘発筋電図

内科学 第10版 「反復刺激誘発筋電図」の解説

反復刺激誘発筋電図(電気生理学的検査)

(4)反復刺激誘発筋電図
神経筋伝達の生理機構
 運動神経に最大上電気刺激を連続的に与えて,複合筋電位(M波)の振幅と面積の変化をみる検査である.
1)低頻度刺激による漸減所見(waningあるいはdecrement)(図15-4-10上):
1~3Hz連続刺激でM波振幅が徐々に減少する所見で,重症筋無力症に特徴的である.3~4発目の低下が最も大きく,同時にM波陰性部面積も低下する.初回刺激M波面積より10%以上減少するものを異常漸減と判定する.
2)高頻度刺激による漸増所見(waxingあるいはincre­ment)(図15-4-10下):
M波面積・振幅が徐々に増加する所見.高頻度刺激では貯蔵アセチルコリンが神経末端に急速移動放出されるので,もともと終板電位低下があるLambert-Eaton筋無力症様症候群やボツリヌス中毒では筋電位が著明に漸増する.刺激1発目の2倍(200%)をこえるM波振幅増大がある場合を確実な異常漸増所見と判定する.[馬場正之]
■文献
Kimura J: Electrodiagnosis in Diseases of Nerve and Muscle: Principles and Practice, 4th ed, Oxford University Press, New York, 2013.木村 淳,幸原伸夫:神経伝導検査筋電図を学ぶ人のために,第2版,医学書院,東京,2010.柴崎 浩,柳澤信夫:臨床神経生理学,医学書院,東京,2008.園生雅弘,馬場正之:神経筋電気診断の実際,星和書店,東京,2004.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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