日本大百科全書(ニッポニカ) 「味噌土」の意味・わかりやすい解説
味噌土
みそつち
misotsuchi
長野県と山梨県北部の八(やつ)ヶ岳山麓(さんろく)に分布している淡黄褐色で粗粒の火山放出物の層。地表直下に、またはより新しい火山灰に覆われてみいだされる。石英安山岩質マグマの噴出時に降下した浮石が若干風化して細粒子も混在し、その色と手ざわりから味噌土の俗称でよばれている。したがって味噌土といっても成熟した土壌層をなしてはおらず、数十センチメートルの厚さで上下の土層または火山灰層に挟まれた状態をなすことが多い。とくに水分を吸着したときに味噌状を呈する。
味噌土と同様な火山灰層に北関東の鹿沼(かぬま)土、今市(いまいち)土、九州の「あかほや」「おんじ」などがあるが、これらはいずれも安山岩または流紋岩質の溶岩を噴出する火山体の周辺から風下方向に散布されたもので、アロフェンとよばれる初期火山灰風化物の粘土鉱物を含む。
[浅海重夫]