粘土鉱物(読み)ねんどこうぶつ(英語表記)clay mineral

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

粘土鉱物
ねんどこうぶつ
clay mineral

粘土粒子の基本をなす鉱物の総称。一般にケイ素,アルミニウム,酸素などが一定の配列をした層状の基本構造をしていて,その層が2層と3層のものがあり,層間にカリウム,マグネシウム,水などが入ることによって粘土鉱物の種類が決る。2層構造型はカオリン類 (→カオリナイト ) で,陶土はその代表例。3層構造型は雲母類で,カリウムを層間にもつイライト,水をもつモンモリロナイト,緑泥石型で鉄,マグネシウムをもつクロライトなどがある。これらは常温のもとで化学的風化によってできる粘土鉱物のおもなもので,大きさは層間距離が7~14Å,電子顕微鏡で六角板状の外形が認められる。水を加えると可塑性を示す。熱すると吸着水とモンモリロナイトのように結晶水を放出するものがあって,高温で耐火性を示す。吸着水で可塑性を示すものは含水量が 150%ぐらいまで粘着性を保持するが,モンモリロナイトだけは 150%の含水量付近から粘着力が出はじめ,約 450%まで粘着力が持続すると同時に内部摩擦角がきわめて小さい。このため,モンモリロナイトが多いと緩慢な地すべりを起しやすい。このほか,蛇紋石はカオリン型,滑石,バーミキュライト (蛭石) ,パイロフィライトは雲母型の粘土鉱物で,このなかには高温の火成作用や変成作用によって生成されるものがある。

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百科事典マイペディアの解説

粘土鉱物【ねんどこうぶつ】

粘土の主構成鉱物。カオリン鉱物モンモリロナイト鉱物,雲母粘土鉱物,緑泥石鉱物など数種のグループに分類される。ほとんどが層状の結晶構造をもつ含水ケイ酸塩鉱物で,陽イオンとしておもにマグネシウム,アルミニウム,鉄を含む。微細な粒子からなり,葉片状にへき開する。加熱によって水を失い,高温で耐火物質に変わる。水を加えると可塑性をもつ。モンモリロナイト鉱物,ハロイサイト(カオリン鉱物の一種)などでは層格子の間に水の六角網が形成され膨潤現象を示す。この種の粘土鉱物は,有機物質との結合(水の層の代りに有機物質が規則正しく配置される)という特異な性質を示す。粘土鉱物は岩石や鉱物の地上での化学的風化,海底風化,熱水作用による変質,温泉作用などで生じ,ケツ岩,泥岩などの主要構成鉱物でもある。
→関連項目アロフェン長石

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岩石学辞典の解説

粘土鉱物

粘土の粒度のどのような鉱物の記載にも一般的に使用できる語であるが,特に含水珪酸塩の複合グループに対して用いられる.これらは細粒結晶質のメタコロイダル(metacolloidal)または非晶質の形で産出する.粘土鉱物は含水アルミナ・フィロ珪酸塩で二層または三層の型の単斜晶系の格子をもち,SiイオンとAlイオンが酸素に対して四面体配位をとっている.Al, 二価のFe, 三価のFe, Mg, Cr, Liなどは八面体配位をもち,酸素あるいは水酸基に関係する.粘土鉱物は塩基交換の容量が大きく,珪酸塩層の表面でCa, Na, K, Mg, H, Alなどのカチオンと交換する.粘土鉱物は,カオリナイト(kaolinite),モンモリロナイト(montmorillonite),イライト(illite)の三種のグループに大別される.粘土鉱物はもともとの珪酸塩鉱物が風化作用によって形成されたものが多い[Pettijohn : 1975].

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世界大百科事典 第2版の解説

ねんどこうぶつ【粘土鉱物 clay mineral】

岩石,鉱物の分解により生成した微細粒子の集合体である粘土を構成する主要な鉱物類。土壌の主要な構成物でもある。いずれも微粒子として産出し,層状構造をもつ含水アルミノケイ酸塩鉱物であり,ケイ酸塩としてはフィロケイ酸塩に属する。ただし,層状構造と複鎖状構造の共存するものも少数ある。層状構造を示すものとしてはSiO4の四面体より構成される層とAlまたはMg(一部をFeで置換する場合もある)とOおよびOHにより構成する八面体層とがそれぞれ1層ごとに重なって結晶構造の単位となる〈二層構造〉の場合と,上下にSiO4四面体層が存在しその間に八面体層が挟まれて構成される〈三層構造〉となる場合とがある。

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大辞林 第三版の解説

ねんどこうぶつ【粘土鉱物】

粘土を構成する鉱物。風化作用・熱水変質作用などによって二次的にできた、水を含んだケイ酸塩からなる。カオリナイト・モンモリロナイト・アロフェンなど。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

粘土鉱物
ねんどこうぶつ
clay mineral

粘土を構成する主成分鉱物をいう。大部分は層状珪酸(けいさん)塩鉱物で、ほかに非晶質ないし低結晶度鉱物もある。土壌を構成する粘土鉱物を土壌粘土鉱物というが、これは岩石の風化で生成されたものである。土壌の中にも粘土鉱物が多くみられる。粘土鉱物には、雲母(うんも)や緑泥石などのように大きな結晶になる鉱物も含まれているが、こういう肉眼的大きさの結晶に対しては粘土鉱物といわない。逆に、粘土を構成していても石英のようなものは粘土鉱物といわない。すなわち、粘土鉱物というのは特定の鉱物のみを示すものではない。粘土の定義は、窯業、土壌、地質、鉱物など各分野で研究する人々により多少の違いがある。鉱物学者須藤俊男(としお)(1911―2000)によると、粘土とは、(1)可塑性があり、(2)微細な粒からできており、(3)赤熱すると固結する、という三つの性質のうち、少なくとも二つをもつものとされている。しかし、多くの研究から、(2)の条件が粘土のもっとも基本的な性質であるとも述べている。微細な粒というのも厳密な定義があるわけではないが、粒径が2マイクロメートル以下のものが粘土とされることが多い。[松原 聰]

産状

粘土鉱物は、土壌や風化を受けた岩石中に産し、日本のように火山帯が発達した所では熱水や温泉による岩石の変質部やその中の岩脈、鉱脈中に産する。また火山灰などの堆積(たいせき)物中や堆積岩を構成する鉱物としても産する。[松原 聰]

成因

熱水溶液中から直接沈殿してできる場合と、母岩との反応によってできる場合がある。とくに後者の場合、母岩の化学成分や生成時の温度、溶媒の水素イオン濃度(pH)によって種類や生成量が影響される。母岩全体が粘土化することもあるが、その中の特定な鉱物のみが粘土化する場合も多い。[松原 聰]

種類

層状珪酸塩鉱物では、パイロフィライト(葉ろう石)、滑石、モンモリロン石、ノントロン石、サポー石、バーミキュライト(苦土蛭(ひる)石)、雲母属鉱物、緑泥石属鉱物、カオリン鉱物、蛇紋石鉱物があり、非晶質ないし低結晶度鉱物では、芋子(いもご)石、アロフェン、ヒシンゲライトがある。[松原 聰]

利用

粘土鉱物は広範な利用価値がある。とくに窯業関係では太古から利用されてきているが、ほかに農薬、医薬、塗料、繊維、紙やゴムのコーティング、土木工学関係、肥料などの方面で重要視されている。逆に粘土の有害な面では、地すべりなどの災害を引き起こす元凶としてよく知られている。
 英名のクレイという語はねばねばした物質という意味のギリシア語に由来する。[松原 聰]
『須藤俊男著『粘土鉱物学』(1974・岩波書店)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

ねんど‐こうぶつ ‥クヮウブツ【粘土鉱物】

〘名〙 マグネシウム・アルミニウム・鉄・ナトリウムなどの含水珪酸塩鉱物。粘土の主成分。化学成分によって、カオリン類、雲母粘土類、モンモリロナイト類、緑泥石類などに大別される。

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世界大百科事典内の粘土鉱物の言及

【粘土】より

…土壌の分類では粒子の径が2μm(0.002mm)以下のものを,堆積物・堆積岩の分類では1/256mm以下のものをいうなど,その大きさの範囲は分野により異なる。おもに粘土鉱物より成り,一般に親水性が強く,水を含むと可塑性,粘着性を示し,乾燥すれば剛性を示す。岩石の風化作用,温泉作用あるいは熱水変成作用などによって生じ,地上,海底に広く分布している。…

※「粘土鉱物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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