山川 日本史小辞典 改訂新版 「器械製糸」の解説
器械製糸
きかいせいし
洋式を模した器械による生糸生産の技術形態。糸枠を回転させる動力を繰糸工以外(人力・水車動力・蒸気力・モーターなど)によって一斉に行う点と,数本の繭糸を1本に撚(よ)りあわせる抱合装置をもつ点を特徴とする。近代の工場制生産の場合はほとんどが器械製糸であるが,技術的には繰糸工の手先の熟練度に大きく依存する点で機械以前のマニュファクチュア段階とされる。明治初年以降洋式技術の導入により普及し,器械糸の生産高は1894年(明治27)に座繰糸のそれを凌駕した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報