士鑑用法(読み)しかんようほう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「士鑑用法」の意味・わかりやすい解説

士鑑用法
しかんようほう

兵書。北条流の祖、北条安房守氏長(ほうじょうあわのかみうじなが)(1609―70)38歳の著作で、1646年(正保3)成稿、53年(承応2)刊行。氏長は甲州流小幡景憲(おばたかげのり)門下逸材で3代将軍家光(いえみつ)の兵法師範として、45年『兵法雄鑑(へいほうゆうかん)』52巻を完成し、献上している。本書はこれを簡約し、一般士人向きに編成したもので、治内・知外・応変の3綱各10か条、計30か条、それに城取の1編からなり、同流の講義用テキストとして使用され、普及した。

[渡邉一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の士鑑用法の言及

【軍学】より

小幡景憲は《甲陽軍鑑》を聖典として〈甲州流(武田流)〉を創始し,軍学を体系化した。その弟子北条氏長は中世的軍配を迷信として破棄し,軍法を合理的に大成して〈北条流〉を創始する一方,《士鑑用法》(1646)を著して軍学を武士の修養法とし,泰平における武士の存在価値を求めた。北条流において軍学の体系は完成したが,西洋のように政治学としての位置づけはなく,個人の道徳としての精神主義を濃くしていったのである。…

※「士鑑用法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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